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  • 院長 田中康文

マイコプラズマ肺炎


咳が長く続く病気の代表的な感染症です。マイコプラズマは世間で流行する(市中肺炎と呼びます)肺炎の中では割合と多い肺炎の原因となる微生物です。季節性はなく一年を通じて発生し、家庭や学校で小流行がみられます。

このマイコプラズマは細菌の一種ですが、ちょっと変わった存在で、ウイルスと細菌の中間の性質を持っています。咳をしている患者さんと接触することで感染し、2~3週間の潜伏期間を経たのち、乾性咳嗽(いわゆる空咳)、発熱などを主症状として発症しますが、感染力は強くありません。

マイコプラズマ肺炎は生涯のうち、何度もかかることがありますから、一度マイコプラズマ肺炎にかかったから大丈夫と安心するわけにはいきません。特徴は若い人がかかりやすく、頑固な乾性咳嗽がみられます。大部分の患者さんは、マイコプラズマ気管支炎の段階で回復の方向に向かいますが、 解熱後も3週間あるいはそれ以上咳が続くケースも多く、さらにマイコプラズマ肺炎となって重症化することもあります。

咳が2週間以上続く時には考えなければならない病気の一つです。職場で「風邪をひいて咳をしている人が多い場合、マイコプラズマの小流行が起こっている可能性があるので要注意です。

 

《診断》

マイコプラズマ肺炎は原因を確定するために、抗体と呼ばれるタンパク質の上昇を確認する必要があります。血清抗体(PA法)で単一血清で320倍以上がみられる場合、マイコプラズマ感染が疑われます。しかし、マイコプラズマ肺炎は生涯免疫は存在せず繰り返し感染することから、健常人の中にも少なからず抗体保有者が存在しています。そのため、単一血清でマイコプラズマ抗体が陽性であっても、マイコプラズマ感染の急性期であるとは断定できません。診断確定にはペア血清を用い

て、急性期と約2、3週間後の血清で4倍以上の変化がみられた場合、マイコプラズマ感染と診断します。

《治療方針》

マクロライド系抗生物質を内服します。

しかし、最近ではマクロライド系の抗生物質が効かない菌も出現しており、他剤を用いる場合も増えてきています。

処方例:

・クラリス錠(200mg)2錠 分2 原則7日間

クラリス錠投与後2-3日以内に解熱しない場合、以下の薬剤を考慮します。

・ミノマイシン錠(100mg)4錠 分2 4-7日間

 

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