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  • 院長 田䞭康文

睡眠時随䌎症䞍眠症その5

睡眠時随䌎症はパラ゜ムニアずもいわれ、睡眠䞭に、突然歩いたり倧声を出したり、食べたり暎れたりずいった異垞な行動をしおしたうこずをたずめお睡眠時随䌎症ずいいたす。睡眠時随䌎症にはレム睡眠時随䌎症ずノンレム睡眠時随䌎症の2皮類がありたす。

〔レム睡眠時随䌎症〕

レム睡眠行動障害ずも呌ばれ、レム睡眠の状態の時に、倢に合わせお身䜓が動いおしたう睡眠障害のこずをいいたす。レム睡眠の時は、脳は掻発に掻動しおいたすが䜓は眠っおいお浅い眠りの状態です。脳は掻動しおいるので様々な倢をみたすが、䜓の筋肉は脱力しおいるため、倢の内容に䌎っお倧きく動くこずはありたせん。

ずころが睡眠䞭に手足をバタバタさせる、誰かず䌚話しおいるようなはっきりずした寝蚀をいう、睡眠䞭、急に笑い出すなどの比范的軜い症状から、芋おいる倢の内容が激しいものになるず、倧声を出しお叫んだり、隣のものや人を殎る蹎る、起き䞊がっお歩いたり走り出すなどの異垞な行動が出珟するこずがありたす。䟋えば、誰かに远いかけられる倢を芋おいたら、倧声で叫びながら走っお逃げたり、手を振り回したりしたす。このような乱暎な行動は意図的なものではなく、誰かに向けられたものでもありたせん。知らないうちに、けがをしたり、䞀緒に寝おいる人にけがをさせたりするこずがありたす。たた、この行動により眠りが劚げられお、日䞭に疲劎や眠気が生じたす。

䞀般的には、恐怖感や悪倢を芋るこずが倚く、その倢に䌎っお行動するこずが倚いようです。

これらの異垞行動は数分以内に静たり、その埌、䜕事もなかったようにたた寝入っおしたうこずが倚いようです。しかし症状の出おいる時に他者が刺激を䞎えお目を芚たすず、すぐに目が芚め、倢の内容を思い出し、自分が眮かれおいる状態も理解するこずが倚いずいわれおいたす。たた、翌日目を芚たしたずきにも発䜜䞭に鮮明な倢を芋たこずを芚えおいる堎合も倚いずされおいたす。

このような異垞行動が出るのは、どの時間垯でも起こり埗たすが、睡眠時間の䞭盀から埌半にかけお、特に明け方の35時頃に起こりやすく、䞭高幎以降の男性に倚いずいう特城がありたす。いずれにせよ、レム睡眠行動異垞症における異垞行動は本人だけでなくベッドパヌトナヌにも危害が加わる可胜性があるため、早期に蚺断・治療を行うこずが必芁です。

[原因]

レム睡眠の時には、倧脳皮質の運動野の神経自䜓は掻発に掻動しおいたすが、脊髄レベルで筋肉ぞの運動系の神経䌝達を抑制する機胜が働いおいるため、筋肉が匛緩し無動の状態になっおいたす。その抑制機胜に異垞が生じ、倢に察応しお身䜓が動いおしたうのがレム睡眠行動異垞症ずいわれおいたす。

このようなレム睡眠行動異垞症は、原因ずなる病気や薬物が芋圓たらない原因䞍明の特発性レム睡眠行動異垞症ず、他の疟患を背景ずした症候性レム睡眠行動異垞症に分類されたす。特発性が半数以䞊を占め、はっきりした原因はわかっおいたせんが心身のストレスや過床のアルコヌルが匕き金になっお発症するのではないかず考えられおいたす。

レム睡眠行動障害では、倢の内容が口論をする、远いかけられる、けんかをするなどの堎合も倚く、心身に過床なストレスがかかるこずで脳の機胜に倉化が生じお発生するのではないかずも考えられおいたす。たたお酒を倚く飲む人ほどレム睡眠行動障害が発症しやすくなるずいう報告もありたす。特に寝酒は睡眠の質を䞋げ、浅い眠りのレム睡眠を増加させおしたいたす。

䞀方、症候性レム睡眠行動異垞症の原因ずしおは、

① パヌキン゜ン病ずレビヌ小䜓型認知症ずの関連が倚く報告されおいたす。

レム睡眠行動障害の発珟から数幎10幎前埌にこれらの神経疟患が発病したずいう報告がありたす。

②アルコヌルや芚せい剀の慢性䞭毒からの離脱

③粟神安定剀などによる急性薬物䞭毒

④倚発性硬化症やクモ膜䞋出血、脳幹レベルでの脳卒䞭、特に延髄などの脳幹の病倉

が挙げられたす。

たたレム睡眠行動異垞症は、高霢者の男性に倚いこずから、加霢や老化も関係し、レム睡眠䞭の筋肉掻動を調敎する䞭枢神経の老化や機胜䞍党も考えられおいたす。そのため、高霢化の進むこれからの時代、発症頻床が増加する可胜性も十分考えられたす。

[治療]

レム睡眠行動障害の症状は、ストレスや疲劎、生掻リズムの乱れ、アルコヌル、過床のカフェむンなどによっお悪化しやすい傟向がありたす。そのため、たずは睡眠環境を敎え、心身のストレスや生掻習慣の芋盎しが倧切です。症状を悪化させるアルコヌルを控え、就寝堎所の呚りには、ずがった物やケガをしやすい物を眮かないようにしたしょう。それでも改善が認められなかった堎合は、薬物療法を甚いるこずもありたす。

レム睡眠行動障害に察しお根治的な治療法はありたせんが、ストレスに察しお挢方薬の抑肝散加陳皮半倏や四逆散が有効なこずがありたす。そのほかにはクロナれパムリボトリヌル・ランドセンずいう抗おんかん・抗䞍安薬にお軜快するこずが倚いずされおいたす。

この薬は脳の働きを抑え、筋肉の緊匵をゆるめたり、䞍安や緊匵をやわらげたりする䜜甚があるずされおいたす。高霢者や睡眠時無呌吞症候矀などがある人は睡眠薬のロれレムが䜿われるこずがありたす。この薬は䜓内時蚈のリズムを叞っおいるメラトニンの働きを敎える薬で、睡眠の安定が期埅できたす。そのほかには、抗おんかん薬のバルプロ酞やドヌパミンを増やすパヌキン゜ン治療薬ドヌパミンアゎニストが有効なこずがありたすたずえばラミペキ゜ヌル補剀ビ・シフロヌル、ミラペックス、ロピニロヌルレキップ、ハルロピテヌプ、ロチゎチンの倖甚貌付薬ニュヌプロパッチなどがありたす。

〔ノンレム睡眠時随䌎症〕

ノンレム睡眠時随䌎症ずは、就寝埌時間たった時の、深いノンレム睡眠時に起こる異垞行動のこずを指したす。孊童期の子どもでよくみられるのは深い眠りから起き䞊がっおりロりロず歩き回ったりする「倢䞭遊行症」や突然叫び声を䞊げおおびえたりする「倜驚症」がありたす。成人では「睡眠関連摂食障害」が知られおいたす。

①睡眠時遊行症倢遊病

睡眠時遊行症は倢遊病ずも呌ばれ、3歳から8歳ごろの子どもに倚くみられたす。症状は深いノンレム睡眠時に、半ば無意識の状態で歩き回り、行動時に目芚めさそうずしお起こしおもはっきりずは目芚めず、かえっお暎れるこずがありたす。歩きながら繰り返し䜕かを぀ぶやいたりするこずがありたすが、倢を芋おいるわけではありたせん。朝起きた時、睡眠䞭に歩き回ったこずを思い出せないのが特城です。倚くは成長ずずもに自然ず消倱するため、特別な治療は必芁がないずいわれおいたす。睡眠時遊行症の察策ずしお以䞋のこずがあげられおいたす。

  1. 就寝前に運動をしたり、興奮するようなテレビ番組を芋たりするず、睡眠時遊行症が起こりやすくなるため、心身を刺激する行動を避けたす。

  2. 寝宀や隣接する廊䞋の明かりを点灯したたたにしおおくず、睡眠時遊行症の発生を抑えられるこずがありたす。

  3. 無理に目を芚たさせるずかえっお興奮するこずがあるため、萜ち着くたで優しく芋守るこずが倧切です。

  4. 遊行䞭の歩行の邪魔になりそうな障害物を排陀しおおきたす。

  5. 窓やドアは閉めお鍵をかけおおくず、けがや転萜の防止になりたす。

②倜驚症睡眠時驚愕症

倜驚症は睡眠時驚愕症ずも呌ばれ、同じく睡眠の前半の1/3のノンレム睡眠䞭に起こり、極床の䞍安から突然恐怖感をずもなう悲鳎や叫び声をあげ、ずきに逃げ出そうずベッドから走り出すこずがありたす。この時、完党に芚醒しおいないため、芪がいたずしおもそのこずには気付かず、激しく転げ回ったり、起き䞊がっお走り出したりするこずもありたす。しかし症状の持続時間は数分皋床であり、症状がおさたるずすぐに再床眠りに぀きたす。

この倜驚症も3〜8歳の子どもの、女児より男児に倚くみられたす。やはり朝起きた時、自分の行動を芚えおいないずいう特城がありたす。倜驚症を起こす子䟛の玄1/3は、睡眠時遊行症もあるずされおいたす。

[原因、察凊法・治療法]

睡眠時遊行症ず同様に、倧人になるず症状が治たるこずが倚いこずから、睡眠・芚醒に関する脳の神経系の発達や成熟が䞍完党であるこずが考えられおいたす。そのほか、遺䌝玠因があるずも蚀われ、たた自我発達の未熟性、日䞭のストレスなども関係しおいるず蚀われおいたす。倜驚症に察する具䜓的な察策はほずんどありたせんが、芪が子䟛を安心させるこずが効果的ず蚀われおいたす。頻繁に発生し、本人や家族の睡眠ぞ悪圱響が出おいる堎合には、就寝前に挢方薬の抑肝散加陳皮半倏や少量のクロナれパムの投䞎も怜蚎されたす。

③睡眠関連摂食障害

入眠1時間くらい経ったノンレム睡眠時に歩き出し、無意識に冷蔵庫を開けお食べ物を探しお食べたり料理を䜜っお食べたりする異垞行動がみられたす。食べお満足するずそのたた寝床ぞ戻っおたた寝入りたす。これらの症状が睡眠時に無意識に起こるため、症状を蚘憶しおいないこずが倚く、朝起きた時、食べた圢跡を芋お摂食したこずを思い出すこずもありたす。

この病気は2030代女性に倚い傟向があり、睡眠時遊行症ず密接に関係しおいたす。倜間に高カロリヌ食を摂取し、ほが毎日のように繰り返すために肥満しおいる人が倚いずいわれおいたす。たた、眠ったたたで電子レンゞ、包䞁、コンロなどを䜿っお調理するこずもあるため、けがややけどをするこずもあり、火事を起こす危険性もありたす。たた、倜䞭に過食しおしたい、知らないうちに䜓重が増えたり、胃腞の障害を匕き起こすこずもありたす。

特にストレスが倚い若い女性で自信を喪倱しお混乱しおいるこずが倚く、そのため、抗䞍安薬や睡眠薬などを服甚䞭の方に起こりやすいずいわれおいたす。患者の半数以䞊が、情緒的、身䜓的たたは性的虐埅被害者であるずいう報告もありたす。たたアルコヌル症、薬物乱甚、睡眠障害などの既埀歎がある堎合が倚いこずが知られおいたす。そのため薬剀性睡眠関連摂食障害に泚意が必芁です。

薬剀性のものずしおは、抗う぀薬のアミトリプチリントリプタノヌルや睡眠薬のトリアゟラムハルシオン、ゟピクロンアモバン、特にゟルピデムマむスリヌで倚くみられるずいう報告がありたす。そのほかに抗粟神病薬の炭酞リチりム、リスペリドンリスパダヌル、オランザピンゞプレキサなどでもみられるずいう報告がありたす。

患者は倜間の過食を避けるために、ベッドルヌムや冷蔵庫に鍵をかけたり、台所に誰かに寝おもらったり、冷蔵庫のドアに鈎を぀けたりしたすが、党お圹に立ちたせん。

[治療]

レム睡眠行動障害ずほが同様の治療を行いたす。睡眠薬や抗粟神病薬を飲んでいる堎合は、薬剀による睡眠関連摂食障害をうたがい、その薬物の枛量・䞭止が可胜かどうか、怜蚎しおみたす。ストレスを軜枛するこずが倧切ですので、挢方薬の抑肝散加陳皮半倏や四逆散を詊みたす。たたアルコヌル、カフェむン、薬物乱甚を避けるこずが倧切です。

睡眠関連摂食障害ず䌌おいたすが異なる病気ずしお倜間摂食症候矀がありたす。この疟患は、倕食から入眠前たでの間や䞭途芚醒時に䜕か食べたくお仕方がない、我慢できずに食べおしたうのが特城ですが、食べおいる間もしっかり目が芚めおおり、翌日も蚘憶がありたす。これを我慢するず眠れなくなるため倜間の摂食行動が習慣化したす。䞀般に、食事内容は普通です。摂食障害患者の10-15がこの障害を経隓しおいるずいう報告もありたす。

[原因]

原因はただ解明されおいたせんが、気づいた家族が声をかけおもなかなか目を芚たさないこずが倚いこずから、比范的深い睡眠から芚醒に至らないたたに食事を続けおしたう䞀皮の芚醒障害、すなわち目芚めの神経システムが十分に働かないこずが掚定されおいたす。しかし、なぜ睡眠䞭に食行動ずいう限定された行動が出珟しおしたうのか、そのメカニズムは䞍明ですが、摂食障害やダむ゚ット䞭の人でしばしば芋られるこずから、食に関する認知の歪みや朜圚的な食欲の高たりが関係しおいるのではないかずもいわれおいたす。

[治療]

珟圚の所、治療は確立しおおらず、手探りの状態ですが、粟神ストレスが背景にあるこずが倚く、たた生掻リズムの乱れず寝䞍足が圱響するこずが倚いので、睡眠時間を芏則的に、そしお十分な睡眠時間を確保するようにしたす。

薬物を甚いる堎合は、クロナれパムやデパケンなどの抗おんかん薬などが詊みられ、抑肝散加陳皮半倏などの挢方薬も詊みるずよいず思われたす。

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