住所
栃木県下野市
文教1-2-28
  • 院長 田中康文

耳の構造と機能・その発生


・耳の構造と機能

耳は外耳、中耳、内耳の三つの部分からできています。外耳から中耳までは音を振動で伝える「伝音系」の器官であり、内耳は音を電気信号に変換して脳へ送る「感音系」の器官になります。内耳はまた体の平衡(バランス)を保つ働きもしています。 

これらをもう少し詳しく説明すると以下のようになります。

外耳は耳介と外耳道からなり、鼓膜が中耳との境界になります。

外耳道は、鼓膜までの長さが大人で約3.5cmの皮膚で被われた管で、耳介で集音された音は、外耳道内の共鳴によりさらに大きくなります。この共鳴は、片方が開き、もう片方が閉じた管の中で起こる現象です。外耳道も、耳介側は開いており、もう片方は鼓膜によって閉じられているために共鳴が発生してラッパの管のように音を増幅させる効果があります。

鼓膜は直径約1㎝のやや楕円形の薄い膜で、音波を受けると振動します。

鼓膜の奥にある部屋が中耳です。中耳は振動の増幅と耳管による気圧を調整しています。

中耳には、外耳道に接する鼓膜と、その内側の、鼓室と呼ばれている空洞の中耳腔があります。鼓室の奥の壁は内耳の蝸牛につながっています。

鼓膜と蝸牛の間を耳小骨という3つの小さい骨が結んでいます。鼓膜の振動を鼓室内の3つの小さな骨、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と順番にテコの原理で増幅させながら伝えていき、最終的には鼓膜に伝わった空気の振動を約22倍に大きく増幅させて内耳の蝸牛へ送っていきます。

鼓室はまた、耳管によって上咽頭(鼻の奥にあたる部位)へ連絡しています。耳管はふだんは閉じていますが、ものを飲みこんだり、あくびをしたときなどに耳管が開きます。これによって、空気を入れ換えて鼓膜の内外の圧を同じにして鼓膜がよく振動するよう調節しています。太鼓の中の空気を吸ってしまうと、太鼓の皮が凹んでしまい、うまく鳴らないでしょう。

また飛行機に乗ったりして周囲の気圧が急激に減少すると、耳にポーンと張ったような違和感を覚えることがあります。これは、外耳側は外気圧をそのまま受けるのに対して、中耳側の圧力はすぐには変化せず、鼓膜の両側に圧力差が生じるからです。このような時は、唾を飲み込むと、口蓋帆張筋の働きで耳管が開き、中耳の圧力と外気圧との均衡が回復します。

これとは逆に、海深くもぐって外耳側の気圧が急に高くなった場合、鼻をつまむなどして鼻孔をふさいだ上で、鼻から息を吐き、呼気を耳管を通じて中耳に送り込むことで内外の圧力を調整する必要があります。これは耳抜きといって、ダイバーの常識です。

耳管はまた鼓室内に出る分泌物を咽頭に排出する役割も持っています。中耳の空洞内は粘膜で裏打されています。聞こえという機能を保つために粘膜はとても重要な働きをしています。

粘膜は粘液を出し、再吸収します。カゼをひいて、ウイルスや細菌が耳管に侵入すると耳管炎という状態になり、さらに鼓室内に入ってウイルスや細菌が体内に入ろうとすると中耳粘膜から粘液(分泌物)が出て、入るのを防ぎ、耳管をとおって、のどのほうに排出して感染を防ぎます。

炎症の程度が軽い場合は、分泌された粘液は粘膜から再吸収されますが炎症の程度が強く、膿性で多量であったり、あるいは耳管の炎症が強かった場合は鼓室内に分泌物が貯留します。このように分泌・吸収のバランスが崩れると、鼓室内が水浸しになり、聞こえが悪くなります。太鼓の中に水を入れたら響かないのと同じです。

内耳は、頭蓋骨の中に入っています。内耳には音を感じとる蝸牛(巻き貝の形をしていることから蝸牛(かたつむりのこと)と呼ばれています)と平衡器官である前庭および半規管があります。それぞれ、水の入った袋の構造になっていて、中にリンパ液が入っています。これらの蝸牛・前庭・半規管はグルグルしているので、迷路とも呼ばれています。

外耳、中耳から伝わってきた振動は蝸牛内にあるリンパ液を震わせ、波に変え、それをその内側にある有毛細胞が感知し、電気信号に変換して蝸牛神経に伝え、その後大脳に伝えられていきます。そして脳で音や言葉を処理し理解できる音にしていきます。

半規管は三つあるので三半規管といわれ、三半規管の中にはリンパ液が入っており、その為、体が回転するとその動きに合わせてリンパ液が反応し。流れる方向から前後左右などの体の回転を認識出来るようになると言われています。

蝸牛と三半規管の間に「前庭」という器官があります。前庭は球形嚢と卵形嚢からなり、それぞれに有毛細胞が覆われており、その上に耳石があり、体の傾きと共に耳石も動いていきます。これにより体の直線運動を感じる働きとともに体の傾きが認識され、体のバランスをとる役目をしています。

からだを何回もぐるぐる回したときにめまいがするのは、三半規管が刺激されたためであり、エレベーターなどで上がったり下りたりする感覚を感じとるのは耳石です。

これらの三半規管と前庭からの信号は前庭神経に伝わります。センサーが過敏であればちょっとした頭位の変化を大げさにとらえてしまいグルグルまわりますし、鈍感であれば適切に頭位の変化を捉えることができずにバランスがとりにくくなってしまいます。また、前庭神経自体が傷害されても平衡障害をきたします。

なお蝸牛神経と前庭神経をあわせて、聴神経または内耳神経と呼ばれています。

このような三半規管と前庭は音を感じる蝸牛とつながっているために、メニエール病など、難聴と同時にめまいや嘔吐などを発症させると言われています。

・発生

中耳は鼻から気管支炎に至る、呼吸器の続きです。

胎児のときに、内耳は脳の神経が延びてきてでき、外耳は側頭部の表面がくぼんで延びてきてでき、そして中耳はのどがくぼんで延びてできます。したがって生まれてからも、中耳は耳管という管でのど(鼻咽腔)とつながっており、また中耳粘膜は鼻腔、副鼻腔、気管支と同じような呼吸上皮をもった粘膜なのです。


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