• 院長 田中康文

アトピー咳嗽


1989年に金沢大学の藤村らが提唱して以来、比較的新しい疾患概念です。喉頭や気管の痒みやイガイガ感を伴い、痰を伴わない乾性咳嗽を主症状とし、花粉症などのアレルギー疾患を伴うことが多いとされています。

咳喘息や典型的気管支喘息とともに代表的な好酸球性気道疾患です。しかし、咳喘息と異なり気管支喘息への移行はほとんどなく、抗アレルギー剤の内服が有効です。

咳喘息や典型的喘息は気道の中枢気道から末梢気道まで炎症が広がっていますが、アトピー咳嗽は中枢気道を炎症の主座とし、末梢気道に病変はなく好酸球性炎症が末梢気道には及んでいないことが特徴的で、この点が咳喘息と大きく異なる部分です。従って、アトピー咳嗽は咳喘息と異なり、気管支拡張薬が無効です。

アトピー素因を有する中年女性に多く、咳嗽症状の生じやすい時間帯は、就寝時、深夜から早朝、起床時、早朝の順に多いとされています。

咳嗽の誘引として、冷気、暖気、会話、受動喫煙、運動、香水の匂いなどが多いようです。

 喘息以外のアトピー疾患に罹患したことがあったり、血縁者にもアトピー疾患に罹患したことがあったりします。

《治療のポイント》

ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗アレルギー薬)の咳に対する効果をみます。

吸入ステロイドが効果的です。気管支拡張薬は無効です。

咳喘息や典型的喘息との大きな違いは、気管支拡張薬が無効であることです。

従って、気管支拡張薬が無効であることを確認することによって咳喘息を否定した上で、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗アレルギー薬)およびステロイド薬の有効性を確認します。

咳嗽が強く吸入ステロイド薬の使用が困難な場合には、喘息や咳喘息の治療と同様経口ステロイド薬(プレドニソロン20~30mg/日を1~2週間)を使用することにより咳嗽の早期軽快が得られます。

予後良好な疾患であり、長期的に典型的喘息の発症への進行は認めません。

咳嗽が軽快すれば治療は中止可能です。

なお、4年間の経過で半数の患者様が咳嗽の再燃を認めるが、同じ治療で軽快するという報告があります。

《治療の実際》

1.まずは咳喘息の可能性を否定します。

ホクナリンテープの貼付と咳嗽の発作時に使用されるメプチンエアーの併用を1-2週間投与して、咳嗽が改善されないことを確認します。

・ホクナリンテープ(2mg)1枚 夕または就寝前 貼付

・メプチンエアー(10μg)1回2吸入 咳嗽時頓用

2.次いで、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗アレルギー薬)を投与して効果をみます。

下記の薬剤のいずれかを用います。

・クラリチン錠1錠 1日1回

・アレジオン(1回10~20mg、1日1回)

・アレグラ(1回60mg、1日2回、朝・就寝前)

ヒスタミンH1受容体拮抗薬の有効率は約60%であり、咳嗽を完全に軽快させるためには咳喘息や典型的喘息の治療と同様に下記のいずれかの、吸入ステロイド薬の追加を試みます。

・フルタイドディスカス(200μg)1回1吸入1日2回 朝・夕

・パルミコートタービュヘイラー(200μg)1回2吸入 1日2回 朝・夕

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