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  • 院長 田中康文

結節性痒疹


結節性痒疹(けっせつせいようしん)

非常に強いかゆみを伴う炎症性皮膚疾患で、夏から秋にかけて多くみられ、はじめは虫刺されのような小さな発疹が現れますが、皮膚を掻きむしっているうちに発疹がどんどん膨れ上がり、結節と呼ばれる豆粒大の発疹になります。

その原因は、蚊やブヨに刺されることによるアレルギー反応だと考えられていますが、まだはっきりとは分かっていません。慢性に経過する結節性痒疹は、アトピー性皮膚炎や糖尿病、肝疾患などが原因になっていることもあるといわれていますが、その多くは不明です。 治療はステロイド系外用薬を用いることが一般的とされていますが、完治は困難で、長年、症状に悩まされるといわれています。

しかし、長年苦しんだ患者さんが漢方薬(煎じ薬)で著明に改善した症例をご紹介します。

 

症例:60才女性。 22~23年前に蚊に刺されたような小さな湿疹が腕に出来た。 痒みがひどくなり、掻いているうちに段々と大きくなって、全身に広がる。

そのまま堅くなって治らなくなった。近くの皮膚科で結節性痒疹と診断され、ステロイド剤を処方され、毎日塗布したが全然よくならかった。 15年前に、皮膚科を変えて、そこでネオラールという免疫抑制剤を処方され、5年間飲んで良くなったが、血圧が高くなり、腎障害もみられたため、中止した。 その後、抗ヒスタミン剤とステロイド剤を塗っていたが全く効果なかった。 半年前から東京の皮膚科へ行って、食べ物を徹底的に指導され、漢方薬(麻杏甘石湯)を処方され、飲んでいたが半年経っても全然変わらなかった。

初診時の皮膚所見:頭皮:後ろの髪の毛の生え際の皮膚が赤いが湿疹は出来ていない。 顔面:異常なし。 首:前頸部の皮膚が赤い。後頸部に数個赤い湿疹あるが結節はない。 背中:中央から下部にかけて全体に赤い湿疹があり、小さく硬く結節状に膨隆状の湿疹が多数みられる。背中下部から腰にかけて、一部皮膚が乾燥して白く粉がふいている。 肩:赤い湿疹が2,3カ所でみられる。上腕は少し発疹があってかゆがっている。 前腕は全体的にボコボコして、1㎝大の赤みのない固い結節状のものが多数みられ、赤い湿疹も見られる。掻いた所が赤くなっている。 腹部:蚊に刺された様な赤い湿疹が数カ所みられる。結節状のものはない。膝の上に硬い膨隆した湿疹が出来ている、掻いた湿疹は少し赤くなっている。

治療:熱冷まし、かゆみどめ、血流の改善、肌を潤すなど16生薬から成る煎じ薬から開始し、さらにアトピーでよく使われ、免疫調整外用薬であるプロトピック外用薬を併用した所、2、3日後には全身のかゆみも少し薄れ、赤い湿疹も少し改善。9カ月後にはほとんど全身のかゆみも赤い湿疹もなくなり、結節も次第に小さくなった。

初診より約1年半経過した現在では、花粉症や夏の季節になるとかゆみが少し出てくるが、普段はかゆみはなく、前腕、足首に約5ミリぐらい盛り上がった赤みのない小さな結節が數個みられ、結節がみられた所は約5~6ミリぐらい白く抜けている状態にまで改善している。

 

当院では保険適応で漢方薬を処方しております。

体の調子を色々と聞き、全身状態から少しずつよくなる方法を取っています。

もしお時間の都合がつけば来院されて下さい。


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