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  • 院長 田中康文

鼻づまり


鼻の穴(鼻孔)の通りが悪く、鼻による呼吸が困難な状態です。このような鼻づまりを訴える方は耳鼻科へ行く方が多いと思いますが、耳鼻科では花粉症によるものであればアレルギーの薬、副鼻腔炎によるものであれば、抗生剤や鼻汁を柔らかくする薬や鼻の通りをよくしたり、場合によっては手術をするのが一般的です。

しかし、これらにて改善する場合と一時的には改善するがすぐに再発する場合があるようです。

漢方外来には、再発を繰り返して、一向によくならない方がよく来られます。 漢方外来では、まず鼻水を伴っているかどうか、もし伴っている場合は、透明なサラ サラした鼻水か、あるいはドロドロした粘りけのある黄色い鼻水が出ているのかを聞きます。

透明な鼻水であれば、暖めて水の流れをさばく小青竜湯をよく処方しますが、鼻づまりが著明な場合は、ドロドロした粘りけのある鼻水を伴っている場合が多いようです。この場合は、熱を冷まし、鼻の通りをよくする辛夷清肺湯やさらに荊芥連翹湯を追加します。

鼻づまりが花粉症などの時期に限定してみられる場合は、2~3カ月間の服薬だけでいいのですが、副鼻腔炎などの慢性疾患を伴っている場合は、一旦よくなっても風邪を引いた場合に再発する場合が多く、3か月以上、場合によっては6カ月以上の服薬が必要な場合が多いようです。

これらにて、ある程度改善はするが完全ではない場合は、「朝起きた時や春秋などの季節の変わり目に鼻づまりが悪化するかどうか」を聞きます。

朝方や春などの季節の変わり目には気の流れを調節している肝気が盛んに動くため、 精神的ストレスや緊張などにより気の流れが悪くなった場合は、四逆散などの漢方藥を追加します。

また、鼻づまりが夜間の睡眠中に悪化する場合は血行不良により鼻づまりがさらに悪化した可能性があり、桂枝茯苓丸などの血の流れを改善する漢方薬を追加することもあります。

鼻水をまったく、あるいはほとんど伴っていない鼻づまりの場合、鼻が乾燥し、さらに口や口唇の乾燥感、寝汗や睡眠中の手足のほてり感などがみられた場合は、潤いと熱冷ましの効果のある滋陰降火湯などを用い、疲れやすい、元気がない場合は気が足りない場合(気虚と呼ばれています)が多く、気を補う補中益気湯(場合によっては気血の根本である仁気を改善する八味地黄丸を追加)を処方します。

このように東洋医学では同じ鼻づまりでも、様々な角度から症状を分析して、鼻づまりの完治を目指します。


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