• 院長 田中康文

①危ない頭痛、慢性頭痛(西洋医学からみた頭痛Q&A:その1)


日本人の3-4人に1人は慢性的な頭痛に悩んでいるといわれ、一度頭痛が起こると、日常生活に支障を来す場合が少なくありません。

また、頭痛は時として命にかかわる病気の予兆として現れる場合があります。

自分の頭痛のタイプを知り、日々の生活で適切な対応を行えば、やっかいな頭痛とも上手くつきあっていくことができます。




【頭痛Q&A(その1:危ない頭痛、慢性頭痛)】

(危ない頭痛)

Q1.頭痛の中でも危ない頭痛とはどのようなものがありますか?

(慢性頭痛)

Q2.慢性的に起こる頭痛にはどのようなものがありますか?

(緊張型頭痛)

Q3.緊張型頭痛とはどのような頭痛ですか?

(片頭痛)

Q4.片頭痛はどのような特徴がありますか?

(群発頭痛)

Q5.群発頭痛はあまり聞き慣れない頭痛ですが、それはどんな特徴があるのですか?

Q1.頭痛の中でも危ない頭痛とはどのようなものがありますか?

【回答】

頭痛は大きく分けて慢性的に起こる頭痛と危ない頭痛があります。

慢性的な頭痛は命にかかわることはなく、いわゆる頭痛持ちの頭痛で、一次性頭痛ともいわれています。

一方、危ない頭痛は二次性頭痛ともいわれ、原因があり、時として、命にかかわる重大な病気の予兆として現れます。突然起こる今までに経験したことのない頭痛は、くも膜下出血や脳出血(時に腦梗塞)などの可能性があり、早期に適切な処置を受けないと命にかかわることがあります。


①くも膜下出血

脳は外側から硬膜、くも膜、軟膜で覆われており、くも膜と軟膜のすき間はくも膜下腔と呼ばれています。このくも膜下腔に出血を起こした状態がくも膜下出血です。

原因としては脳動脈の一部がふくらんでできた動脈瘤の破裂によるものが大部分です。

脳動脈瘤は生まれつき持っているわけではなく、40歳以降に発生すると言われています。脳動脈瘤は血管が枝分かれするところに発生します。発生には血管の壁の弱さと血流、血圧などが関係していると考えられています。

落雷のように突然、頭が割れるようなガーンという激痛(落命頭痛)がおそうのが特徴です。

続いて吐き気や嘔吐、意識低下などが起こります。通常、手足の麻痺は伴いません。

高血圧、喫煙、過度の飲酒は動脈瘤破裂の可能性を数倍高くするという報告もあります。


②脳出血

多くは高血圧がもとで、脳血管が破れて出血し、急に頭痛が起きて短時間で痛みはピークに達します。頭痛は軽くても手足の麻痺やしびれ、言葉のもつれ、吐き気などを伴うことが多いようです。脳梗塞は頭痛を伴うことはあまりないのですが、脳梗塞の範囲が広いと、頭痛を伴うことがあります。


③脳腫瘍

脳にできた腫瘍が大きくなるにつれて、痛みもだんだんと強くなります。全身の痙攣発作を伴うことが多く、できた部位によっては、手足の麻痺や視力障害などが出ます。


④髄膜炎・脳炎

脳と脊髄を保護する硬膜・クモ膜・軟膜の総称を髄膜といいます。

ウイルスや細菌の感染が髄膜に及び、高熱とともにズキンズキンという激しい頭痛が起こります。首の後ろが硬くなるのも特徴です。炎症が脳まで及ぶと脳炎となり、麻痺や意識障害が起きます。


⑤慢性硬膜下血腫

頭をぶつけたこと(あるいは軽い衝撃)が原因で、頭蓋骨の下にある硬膜とくも膜の間の細い静脈が切れて脳の表面にじわじわと出血して、1~2カ月後に血腫が脳を圧迫して頭痛が起こります。

とくにお年寄りに起きやすく、ぼんやりしたり、物忘れや尿失禁なども出たりして痴呆症に間違われることもあります。血腫を取り除く手術をすれば、症状はなくなります。

⑥その他

副鼻腔炎がひどくなり、たまった膿が鼻腔を刺激して、頭痛が起こることがあります。

また目の霞みや目の痛みを訴えてそれとともに頭痛と吐き気が起こる急性緑内障は失明する可能性があり、できるだけ早く眼科の受診が必要です。

そのほかには、後頭部にズキンズキンと顔をしかめるほどに鋭い痛みが断続的に急に走る大後頭神経痛があり、後頭部の髪の生え際を押すと、ズキンと頭のてっぺんに痛みが走ります。大後頭神経痛は神経がウイルスに感染して炎症を起こし、消炎鎮痛薬を飲むとよくなるといわれています。



(慢性頭痛)

Q.慢性的に起こる頭痛にはどのようなものがありますか?

【回答】

慢性頭痛とは、日常的に繰り返し起こる頭痛で、ズキン、ズキンとした頭痛症状をくり返す場合や、ズーンと頭が重たいなどの症状が長期間続く場合など、日常生活に支障を来すやっかいな頭痛のことを指します。よく「頭痛持ち」と言われる人たちの頭痛で、日常生活の改善や適切な薬物の選択で、治療可能なものです。

1番多いのが緊張型頭痛で慢性頭痛の約60%を占めます。次に片頭痛、さらに痛みがひどい群発頭痛があります。これら3つの頭痛は一次性頭痛の三兄弟といわれています。最近では、これらに加えて、片頭痛と緊張型頭痛の2つとも混在したような慢性片頭痛が増えています。

いずれも命にかかわるものではありませんが、それぞれの頭痛については、痛みの起き方やそれを引き起こす誘因、自分で対処するためのセルフケアや薬の使い方などが違うので、注意が必要です。




(緊張型頭痛)

Q.緊張型頭痛とはどのような頭痛ですか?

【回答】

首筋から頭部にかけてある筋肉が精神的・肉体的ストレスにより、緊張し,収縮して起こります。痛みの程度は片頭痛に比べて軽く、片頭痛がズキンズキンと痛むのに対して、緊張型頭痛は、頭全体が圧迫されるような、ギューと締めつけられるように痛みます。痛みは、朝から晩までだらだらと続きますが、仕事が終わる夕方ごろに痛みが強くなる傾向がみられます。夕方に痛みが強くなるのは、朝からの筋肉の緊張がたまってくるからとされています。

緊張型頭痛はストレスの最中に起こりやすいことから、ストレス頭痛ともいわれていますが、片頭痛がストレスから解放された時に起こりやすいのとは極めて対照的です。頭痛以外に、首や肩のひどいこり、目の疲れ、首を回したときにフワッとしためまいが起こることもあります。このめまいは首の筋肉があちこちでこるように収縮したために生ずるのではないかともいわれています。脳は頭を支えている首の筋肉の収縮のバランス情報を自分の位置を知る参考にしていますが、ストレスや疲労によって、首の筋肉があちこちでこるように収縮した場合は、脳は自分の置かれた位置がわからなくなり、ふわふわと雲の上を歩くようなめまいが生ずるのではないかとされています。

緊張型頭痛は時に吐き気を伴うことがありますが、片頭痛とは異なり嘔吐までは起こらず、また光・音過敏を伴わず、頭を動かしても痛みは強くならず、むしろ、首や肩のストレッチを行うと、筋肉の緊張がやわらぎ、痛みが軽減するといわれています。

近年、パソコン作業の普及により、緊張型頭痛が急増しています。デスクワークで長時間前かがみの姿勢を続けたり、パソコン画面を長く見続けたり、あるいは細かい作業を続けたりする人などに多くみられます。合わない眼鏡をかけていたり、その他の目の疲れによっても起きてきます。また、枕の高さが合わないといったことも、頭痛の原因となります。

心からくる緊張型頭痛は、人間関係や仕事のプレッシャー、悩みなど、精神的なストレスを感じると、体の神経や筋肉の緊張が高まり起こります。緊張型頭痛は、緊張しやすい真面目で、神経質な人に多いのが特徴です。人間関係など、多少おおらかに、心にゆとりを持ってリラックスするようにしましょう。そして、ストレスの軽減を上手にしていくことが大切です。没頭できる趣味やリラックスする時間を持つことで対応していきましょう。



(片頭痛)

Q.片頭痛はどのような特徴がありますか?

【回答】

片頭痛は小児から中高年まで、幅広い年齢層にみられ、特に20~40歳代の女性に多く、男性の約4倍も多く、30歳代女性の約20%は片頭痛をもっているとされています。症状としては、典型例ではこめかみから目の辺りが、ズキンズキン、ドクンドクンと脈打つような拍動性の痛みがみられるのが特徴です。しかし時に、たとえば首の後ろから後頭部に、石を載せられたような、非拍動性の頭痛のこともあり、この場合は下記に示すように、前かがみの姿勢や、歩行、階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強するかどうか、そして頭痛発作中に吐き気または嘔吐、あるいは光・音過敏を伴うなどの随伴症状がみられるかどうかが決めてとなります。

片頭痛は当初、片側性が特徴といわれていましたが、両側に出現することが実は多く、片側の頭の痛みを訴えるのは半数程度です。痛みの発作は1カ月に1~2回程度が一般的ですが、時には1週間に1~2回起こることもあります。ひとたび発作が始まると4時間ほど、長い場合には2~3日痛みが続いて自然に回復します。

一度、片頭痛が起こると、仕事や家事も手につかず、前屈みの姿勢や動くと痛みが強くなるので、休みたい気持ちになります。ひどい場合には、痛みのピークに吐き気・嘔吐を伴います。普段は気にならないような光、音、におい、気圧や温度の変化に対し敏感になり、光が眩しかったり、音がうるさく感じます。

緊張型頭痛は動くと痛みが少しは紛れるのに対して、片頭痛は身体を動かすと痛みが強くなり、日常的な動作を続けていると、どんどん悪化してきます。片頭痛の患者さんの中には、生あくびが出たり、空腹感や首のこり、イライラ感がつのりだすと、「前もって頭痛が来るのがわかる」という人がいます。

また、頭痛の前兆として、目の前にキラキラ、あるいはチカチカ、ギザギザした光の帯が出現して視野がぼやける「閃輝暗点」という症状が現れる人もいます。目を片方づつ塞いで見ても、両目でみても見えます。この症状は20分程度続くことがあります。閃輝暗点が出ているときに頭痛はしませんが、それが終わると激しい頭痛が始まります。この閃輝暗点はおよそ片頭痛の2割に現れます。

また、頭痛が起こる直前に、首や目の奥の痛みを訴える事も多く、緊張型頭痛と間違えないようにします。

月経前から月経中に起こる片頭痛は他の時期に比べ頻度が多く、また重傷度も高いとされ、エストロゲンの影響があるのではないかといわれています。

(群発頭痛)

Q.群発頭痛はあまり聞き慣れない頭痛ですが、それはどんな特徴があるのですか?

【回答】

群発頭痛という病名は、頭痛が約1~2ヵ月間に集中して毎日のように起こることから命名されています。慢性的に起こる頭痛の中で、緊張型頭痛や片頭痛よりもさらに症状がつらいのが、群発頭痛です。半年から2年に一度、決まった時期にまとまって起こり、「痛みの王様」と呼ばれるほど激しい痛みが特徴です。

片頭痛の痛み方によく似ていますが、片頭痛が一時的であるのに対して、群発頭痛は、長期間毎日のように強烈な頭痛が現れます。片頭痛の「静かな暗い部屋で寝ていたい」、緊張型頭痛の「体を動かすと少し痛みが紛れる」とは異なる、「じっとしていられない痛み」です。ずれか片方の目の奥に、えぐるような激痛が起きて数十分から3時間ほど続き、痛い方の目から涙が出たり、充血したり、腫れ上がったり、鼻閉や鼻水が出たり、額に汗をかいたりすることもあります。「頭の中をかきまわされたように痛い」「目玉をえぐり取られるような痛み」と表現されるほど、とにかくすごい痛みを感じます。

このような頭痛が年に数回、一度起こると一日15分〜3時間続く頭痛が毎日のように出現し、これが1~2カ月間も続くのですからたまりません。痛みは夜中や明け方に起きることが多く、患者の10人中7、8人が男性で、特に20〜40歳代の男性に多いといわれています。

このような群発頭痛は脳に入っていく首の太い血管(頸動脈)が拡張することが原因で起きるといわれています。場所はちょうどの目の奥あたり。この血管拡張が周囲の痛み神経や交感神経を圧迫し、炎症物質が血管から染み出して痛みを生むとされています。しかし、なぜ群発が起こるかはよく分かっていません。群発期に少量のお酒を飲んだだけでも発作が起きるので、期間中は控えることです。

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