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文教1-2-28
  • 院長 田中康文

⑥休日と片頭痛、女性と片頭痛(西洋医学からみた頭痛Q&A:その6)


(休日と片頭痛)

Q.平日は頭痛が起こらないのに、休日になると頭痛になるのはなぜですか?


(女性と片頭痛)

Q.私の周りで片頭痛を訴える人は女性が多いのですがそれはなぜですか?








(休日と片頭痛)

Q.平日は頭痛が起こらないのに、休日になると頭痛になるのはなぜですか?

【回答】

緊張型頭痛は平日の仕事でのストレスが積み重なって、平日に頭痛が起こり、仕事のない休日は頭痛が起こらない人が多いようです。一方、片頭痛も睡眠不足や不規則な生活、さらに平日の緊張やストレスの持続が頭痛の引き金になることがありますが、むしろ早朝や休日など、緊張状態から解放されたときに起きやすいようです。特に週末にホッとした時、頭が痛くなるというのは片頭痛の特徴の一つといわれています。


休日の場合の頭痛は寝すぎによることが多いようですが、早朝に頭痛が起こる場合、それほど寝すぎてもいないのに頭痛が起こることがあります。このような早朝に起きる頭痛は早朝の決まった時間に起きる「目覚まし時計頭痛」に似ています。これは1日のうちでこれから活動しようとするときに、体内時計の働きで体の活動が活発になり、その体内の様子が変わることによって頭痛が発生するとされています。このことから早朝に起きる片頭痛も同じように体内時計の働きにより発生するか、あるいは女性であれば月経の日と重なって頭痛が発生する可能性もあります。


それではなぜ休日の寝すぎで片頭痛が起こるのでしょうか?

律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は主に活動している時に働く神経で、副交感神経は寝ている時に働きリラックス効果をもたらします。交感神経は主に血管を収縮させ、副交感神経は血管を拡張させる作用があります。またセロトニンは朝起きたときから分泌が始まり、日が沈む夕方まで分泌され続けます。夜には分泌が抑制され、セロトニンを材料にしてメラトニンという眠りと深い関係がある物質が夕方から夜12時ごろにかけて生成されます。このように日中起きている間は交感神経が活動するとともにセロトニンが分泌され、夜になると副交感神経が優位になりセロトニン分泌が抑制されます。


平日頑張って仕事をするとストレスが発生して、交感神経が刺激されて血管が収縮しており、セロトニンも欠乏状態になっています。休日になってストレスから解放されると、副交感神経が働きリラックスをもたらし、さらに睡眠により副交感神経の活動がより高まり、血管も拡張状態になります。欠乏状態に陥っていたセロトニンは夜睡眠中はその分泌は抑制されるため、セロトニンの欠乏状態はさらに強まります。

休日にいつもより寝すぎると、これらの傾向がより強くなり、血管拡張とセロトニンの枯渇がさらに進むため、片頭痛が起こるのではないかと思われます。その予防として、一番、確実で効果のある方法は、平日と同じ時間に起きて、寝すぎるのをやめることです。そのためにも、休日前の夜更かしはやめましょう。なるべく平日と休日の睡眠時間を、同じくらいの時間にします。

また休日前のアルコールを控えめにしましょう。アルコールは血管を膨張させ、片頭痛の要因となります。休日前のリラックスした時に飲むお酒は美味しいものですが、頭痛には大敵です。ましてや、飲み過ぎで朝寝坊となれば、片頭痛になるのは確実です。

まずは寝すぎないこと。寝だめしたくなる気持ちもわかりますが、毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝ることが、頭痛を引き起こさない何よりのポイントです。どうしても寝不足でたくさん眠りたいなら、一度平日と同じいつもの時間に起きて、カフェインを飲んでから二度寝をしましょう。カフェインを飲んでから二度寝をすると、寝すぎることもなく、それだけで頭痛は減ります。上手なカフェインのとり方の例としては、「カフェインナップ」と呼ばれる、カフェインを利用した昼寝がおすすめです。


【カフェインナップの方法】

眠くなってきたら、コーヒーや紅茶などのカフェインをとってから30~40分昼寝をします。腸から吸収されたカフェインは20~30分後に効いてくるので、30~40分後に起きると、短い睡眠時間でも寝起きがすっきりします。


このように、休日に片頭痛を起こさせないようにするためには、寝過ぎを控え、家族と一緒に出掛けたり朝、散歩したり、テニスをするまど、リラックスし過ぎないよう、心や体のリズムを整え、リフレッシュすることが大切です。そうすることで、枯渇していたセロトニンが復活して増え、脳内のリズムを取り戻すといわれています。

もちろん、仕事のストレスをため込んで休日を迎えないことも片頭痛予防には大切です。

(女性と片頭痛)

Q.私の周りで片頭痛を訴える人は女性が多いのですがそれはなぜですか?

【回答】

片頭痛は男性より女性の報が3.6倍も多いといわれています。それは女性ホルモンの影響・遺伝的な要因・ストレスや痛みそのものに対しての反応性が男性と異なるからともいわれていますが、その中でも女性ホルモンとの関係が特に強いことが示唆されています。

初潮を迎える思春期以降で女性の片頭痛患者さんが増え、女性の片頭痛の半分以上が生理前や生理中あるいは直後など生理の周期に関連して起こります。また多くの女性は妊娠中や閉経後に頭痛の頻度と程度が軽くなります。

このように女性ホルモンと片頭痛との関係は深く、その中でも卵胞ホルモンであるエストロゲンはセロトニンを活性化させる働きを持っています。エストロゲンの分泌が活発な時期は、女性は肌の状態がいいだけでなく、メンタル的にもイキイキしています。

ところが排卵日を過ぎ、生理前になるとエストロゲンの量が低下します。それとともにイライラが募ったり、やる気が低下したりします。いわゆるPMSと呼ばれる症状です。これは、エストロゲンの低下とともに、セロトニンが減ってしまうからとされています。生理前はもちろん、生理不順などでエストロゲンのバランスが悪いとセロトニンもアンバランスになってしまいます。

このようにエストロゲンの変動に伴い脳内のセロトニンが変動することで片頭痛が発生すると思われます。しかも女性の脳内のセロトニンの分泌量は男性の約半分といわれ、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍も減少するといわれています。


このように女性は脳内のセロトニンの分泌量が少なく、乱れやすい体質を持っており、そのため鬱や不安などの精神的不調や身体的不調を感じやすい側面にはそういった背景もあります。さらに、脳の構造もセロトニンに影響しているという報告もあります。女性は男性に比べて、右脳と左脳をつなぐ脳梁、特にその後部の、脳梁膨大部という少し膨らんだ所の大きさが男性より女性の方がやや大きく球根状をしているようです。この脳梁膨大部というと所は視覚と関係する左右の後頭葉の線維を連絡しており、その膨大部が少し太いということは左右の脳の視覚情報の伝達がより良くできることを示唆しています。それによって、女性は男性よりも目から入る情報を細かく観察する能力に優れていると思われます。その分、ちょっとしたことにも敏感に反応し、思いを巡らせてしまうため、セロトニンなどの脳内物質を男性よりも消費してしまう傾向があります。


そのほかに、女性は月経や出産で急激に血液が失われることがあります。血液が失われると、脳に酸素を供給するために脳血管は拡張し、血流は増えます。だから月経の時は血管拡張が起きやすくて、片頭痛を起こしやすいと思われます。

このように女性は月経、セロトニンに着目した対策を取ることが必要です。

特に月経前と期間中はきちんと体をいたわって睡眠時間と働く時間に気を配りましょう。まずは「起きる時間・眠る時間」を一定にして、仕事のときは適宜休憩を入れましょう。女性の多くは頭痛持ちです。うまく頭痛と付き合うことにしましょう。上手に付き合えば、どの年齢でも頭痛はそれほどひどくなりません。

それでも頭痛になったら、きちんと自分に合った痛み止めや片頭痛の薬を早めに飲む、ということが大事です。また、女性は排卵期と月経期に頭痛がおきやすいので、その時期はできるだけアルコールを避けましょう。

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