• fureaikanpou

【中医学(中国伝統医学)と不眠症(不眠症の病態分類と治療(不眠症:その18)】

「眠れない」という状態は、最終的には心陰、

すなわち心の鎮静役である血が不足する状態だといえます。


この状態は、体全体の陰陽バランスの問題から

心の陰が不足するタイプと、心に陰を運搬する仕組みが妨げられ、

心に陰が届かないタイプの二つに大きく分けて考えると

理解しやすくなります。


その見方から、不眠症のタイプは


1.熱タイプ=陽盛の不眠


2.乾燥タイプ=陰虚の不眠


3.冷タイプ=陽虚の不眠


4.水タイプ=脾虚・痰飲の不眠


の4タイプに分けることができます。


なお、中医学では津液(水液)の流れが悪くなり

溜まった病理産物を痰飲とか痰湿といいます。


飲はサラサラしていて水より少し混濁し、

痰はネバネバして粘り気があり、

湿はその飲と痰の中間に位置する病理産物のことをいいます。


このような4つのタイプ以外に、

心腎不交を病態とした不眠のとらえ方があります。


体全体の陰陽バランスから、心の陰陽もバランスが崩れるのは、

最終的には心陰の不足に至り、寝られないわけですから、

単に体の陰が不足している状態なのか、

あるいは陽が過剰で陰を上回っている状態なのか

ということになります。


陰虚というのは、体が乾いた状態ですから、

イライラしているとか、煩躁感があるとか、というようなことで、

不眠としてのイメージはよく分かると思います。


しかしそういう乾いた状態や熱が過剰な状態が

不眠の病態だけかというと、運搬を考えてみると、

熱の力が足りなくて冷えた状態では、

心に陰を運べなくなり眠れなくなります。


またその途中に水など、交通を妨げるものがあれば

やはり心に陰が届かず不眠になります。


こういうふうに考えると、陽氣が過剰なのは、熱のタイプです。


陰が不足するのは乾きの燥のタイプです。

運びの問題を考えると、寒い、寒のタイプ、

陽虚の冷えの寒のタイプも不眠を作ります。


そして、水っぽいタイプ、これも不眠を作ります。


そうすると、この4つのタイプを考えると、

熱が過剰でも不眠になります。


熱が不足しても不眠になる、乾いていても不眠になるけど、

水が過剰でも不眠になります。

ただし、過剰な水と熱が足りないのは運搬に支障を来すからです。 結局、色んなタイプの体の傾きが

すべて不眠につながっていくことになるので、

睡眠薬を飲めば解決できるというものではなさそうです。







【体全体の陰陽バランスから見た不眠症】


睡眠は夜の時間の生理状態ですから陰と関係します。

夜は陰が陽よりも優位になって体全体がゆったり潤えば、

よい睡眠が取れます。


しかしこの陰陽バランスが崩れて、

心陰が不足すると不眠になります。


その原因をさらに分析すると、

身体の陽気が過剰になる「陽盛:熱タイプ」と、

陰が不足する「陰虚:燥タイプ」に二分できます。


1.熱タイプ=陽盛の不眠


陰が主役となるときに陽が優勢になる不眠です。


[不眠の主な症状]

眠気を感じない、ほてり感が就寝時に残りなかなか寝付けない、

眠りが浅い、途中で目覚めて眠れない


[身体面・精神面の主な特徴]

日中も体がほてる、ノドが渇きやすい、

精神的な興奮(イライラ感、抑鬱的な気分、怒り、不快な気持ち、不安感、恐怖感)


身体の活動は少なくても、怒りやストレス、考え事など、

精神活動が高いだけでも陽盛タイプの不眠になります。


[治療]

考え事、心配事など過度の精神活動によって

頭を使いすぎることで心の活動が異常に亢進してしまう不眠を

心火火旺といいます。


心の働きを鎮めて睡眠を誘います。


現代医学でいえば入眠剤を用いて解消する様な病態です。


心の過剰な熱を冷ますのに黄連、黄芩(オウゴン)、黄柏、

山梔子、牡丹皮など清熱薬を用います。


黄連解毒湯、三黄瀉心湯、清心蓮子飲、女神散、防風通聖散、

半夏瀉心湯などを用います。


黄連や黄芩(オウゴン)といった苦い成分が過剰な元気を

押さえ込む作用を持っているので、

興奮状態の不眠にはいいが、ほかのタイプのものに安易に使うと、

バランスの崩れを無視して陽を抑え込むので、元気がなくなり、

バランスの崩れがもっとひどくなることがあります。


この場合は梔子柏皮湯という作用の穏やかな黄柏や山梔子で

心の熱を押さえて不眠を軽減します。


心の熱の勢いがさらに強い場合は

竜骨や牡蛎で潜陽(陽気を鎮める)します。

桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯を用います。


肝鬱気滞が過剰な熱を作っている場合は、

身体全体の活動過剰や機能亢進が見られます。


肝の巡りの渋滞を解くとともに、過剰な陽を鎮めます。

気の巡りの改善は、心への陰の補充も順調にさせます。


現代医学でいえば精神安定剤や鎮静薬などを使って

不眠症を解決する考え方に相当します。


大柴胡湯、抑肝散(加陳皮半夏)、柴胡清肝湯、

加味逍遥散などを用います。


[改善のために避けたい生活習慣]

夕方から夜にかけての激しい運動や就寝直前までの考えごと、

就寝前のテレビやラジオ、夕方から夜に激しい運動をしたり、

就寝直前まで考え事をすることを控えます。


寝る前だけでも小さなことにくよくよせず、

運命にまかせるような気分で過ごしましょう。


不快や不安な気持ちになることは避け、

夜はのんびり過ごしましょう。


テレビやラジオも一方的に光や音を浴びて陽を盛んにさせるので、

夜間のテレビ鑑賞はゆったりとしたホッとする内容のものに

限りましょう。









2.乾燥タイプ=陰虚の不眠


夜間主役になるべき陰が弱すぎて、陽が鎮まれない状態で、

陽が陰と主役を交替したくても、陰の力が足りないので、

引くに引けず残ってしまい、不眠になるタイプです。

疲れているのに眠れない、寝た気がしないという不眠です。


[不眠の主な症状]

寝付きは悪くないが眠りが浅く頻繁に目が覚めてしまう、

寝ても疲れが取れない、疲れているのに

眠れない、寝た気がしない

陽は交替しようとするので眠くはなります。

しかし寝付きは悪くなくても、それをとどめておく陰が足りないために

しょっちゅう目が覚めてしまい、深い眠りになりません。


[身体面・精神面の主な特徴]

貧血気味、皮膚のかさつき、髪の毛がぱさつく・細い、

眼が乾燥、口が渇く、だるさ陰虚では、相対的な陽の旺盛になるので

ほてりを感じることがありますが、元気がないので全身がだるく、

なんとなく内にこもったほてり感があります。


また陰が弱いので、身体全体では物質や水が足りなくなり、

身体は渇きがちで潤いがなく、皮膚、粘膜などは乾燥し、

髪、爪などは薄くなり、貧血気味にもなります。


[治療]

心を潤す作用を持つ生薬には、酸棗仁、遠志、竜眼肉、柏子仁、

麦門冬、百合、亀板、小麦、丹参、当帰などがあります。


これらを含む酸棗仁湯、帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯、甘麦大棗湯、

炙甘草湯、六味丸、滋陰降火湯、温経湯などが用いられます。


酸棗仁湯は、心血を補う酸棗仁、血を上方に導くセンキュウ、

胃腸の働きを高める茯苓、陰虚で生じる熱を冷ます知母、

陰を補う甘草で構成され、睡眠の条件を整えます。


胃腸の消化吸収や合成に関わる脾の機能が悪く、

血を作れないタイプでは、食欲がなく、

色白、やせ形で、やや寒がりの傾向があります。


脾は血を作ると同時に血を運搬する力も提供します。

脾の働きが悪くなると、血を作れない、運べない状態になり、

身体の高いところで血の提供を待っている心にとっては大変痛手です。


最終的には血の不足が問題になりますが、血を強引に増やしても

不眠は解消されません。


血を作り、運搬する脾の力を強めるためには陽も増やすことが

必要な病態と言えます。


脾の働きを高めて、運搬力とともに、血を作り出す力を増強し、

同時に心の働きにも援助の手をさしのべる方剤の代表が帰脾湯です。


人参、白朮で脾の力を高め津液を巡らせ、黄耆で上方に持ち上げ、

遠志、酸棗仁、竜眼肉で心の働きを援助します。


帰脾湯に、柴胡でこもった気を巡らせ、山梔子で心の熱を冷ます働きを

加えたものが加味帰脾湯です。


人参養栄湯は通常貧血の改善に用いられますが、

中に含まれる桂皮、五味子、遠志が、心の働きを調節することに役立つので、

血を増やす作用とともに直接心にも働きかけて、不眠に応用できます。


胃腸の働きを高める作用とともに心の潤いを増やして

精神を鎮める成分が配合されているのが甘麦大棗湯です。


小麦やナツメといった、日常的な食材から構成されていますが、

精神活動を支える体の部分にしっかり働きかけて睡眠を整えます。


心や脾の働きとは直接は関わりませんが、

血の巡りの善し悪しが不眠と関係するという考え方から、

血液の流れをよくすることで不眠を解消しようとする方剤の一つが

温経湯です。

潤しながら血液の流れをよくしようとしています。


[改善のために避けたい生活習慣]

慢性的な過労、慢性的な睡眠不足、夜型の生活パターン、

ドリンク剤や強壮剤の連用

潤いを増やすために、夕方、夜間の休息を大切にして、

夕方以降ゆったりした時間をたっぷり取るようにします。


体を横にしている時間を夜間に増やします。

精神的にもゆとりを持って生活することが大切です。


疲れやすいからといって、無理矢理元気を引き出すドリンク剤や

強壮剤を安易に連用することは避けましょう。

元気を増やすことよりも休息を増やす方が大切です。


【心への陰の運搬に問題がある不眠症】

熱や燥のタイプの不眠は、体全体の陰陽のバランスの影響を受け、

心において陰が不足する状態です。


よい眠りのためには、腎から陰を心まで巡らせなくてはなりませんが、

陰は「重くて下のほうへ向かう性質を持っているため、

陰を巡らせる仕組みに問題が生じると、心に届きにくくなり、

心では陰が不足しがちになり不眠になります。


この陰を動かす原動力となる熱が不足する「陽虚」寒タイプと、

通行の途中で動きの悪い 湿や痰飲が交通の邪魔をする

「脾虚痰飲」湿タイプに大別されます。


とくに、心で起きている陰の不足とは反対の、陽が不足する状態(陽虚)でも、

運搬の仕組みを介して不眠をつくることがあるので、

不眠を単純に陰の不足とばかり解釈することはできません。


3.冷タイプ=陽虚の不眠

腎陰は腎陽の熱によって温められて軽くなり、上のほうにめぐることが

できます。したがって腎陰を心まで運ぶためには、

腎陽が充実していることが必要です。


腎陽の力が足りないと、腎陰を温めて軽くすることができず、

下には陰が過剰になり、上では陰が不足します。

こうして腎陰を心まで運べず、不眠になります。


鍋でお湯を沸かすときのことを考えてもらうとわかりやすいと思います。

鍋のなかのゆったり動く水もガスの熱で温められると勢いよく動き出し、

沸騰すると水蒸気になって鍋の外に飛び出して、部屋中に広がります。


ガスロ火が弱いと水の動きの勢いがなくなるように、

陽の力が足りないと、陰を心まで運ぶことができず、

心では陰が不足して不眠となります。

冷え症のタイプに見られる不眠です。


[不眠の主な症状]

陰を動かす陽や熱は、体の活動の元気のもとでもあるので、

陽の少ないこのタイプの人は元気がなく疲れやすく感じます。


疲れやすいときは眠くなるのが普通で、寒がりで元気がなく

眠さが目立つ体を想像しがちですが、

このタイプでは、元気のなさが運搬の仕組みに影響し、

心に血を運ぶ力が不足して心に陰が運ばれず、

心のなかで陰陽のバランスを崩して眠りの条件を悪くさせ、

不眠になります。


疲れていて眠気は感じるのに、なんとなく眠れない

といったタイプの不眠です。

元気で興奮しすぎている熱のタイプと正反対の不眠です。


[身体面と精神面の主な特徴]

元気がなく疲れやすい、寒がり、下半身が冷える、トイレが近い

陽や熱が少ない状態は体のいろいろな仕組みに影響をおよぼして、

冷え症、特に下半身が冷えます。


[治療]

冷えのために腎から心まで陰を運べない不眠には、体を温めるとともに、

腎陰も補って心に届けるようにします。

八味地黄丸、大防風湯などを用います。


腎を温めるには真武湯や桂枝加朮附湯を使うこともできますが、

これらは乾燥させる作用が強いので、

不眠の直接的な原因である心の陰虚を強めないように気をつけることが

必要です。


しかし、下にはまだ水があふれていて

熱を増やしたら水が上がって行く可能性がある場合は、

むしろ余分な水を少し削ればいいですので、

真武湯、桂枝加朮附湯で水を取って行きます。


[改善のために避けたい生活習慣]

昼間の運動不足、体を冷やす習慣(薄着、冷飲食)、不要な飲料摂取、

凉性の食材の取りすぎ昼間の適度な運動で熱を増やすことも大切です。


腹部が露出する格好などは、身体の深部の熱を外に逃がし、

冷えを強めます。


薄着や冷房など外から冷やすことはもちろん、

体の内側から冷やすことにも注意します。


キュウリ、トマト、ナスなど夏野菜、バナナ、メロンなどの南国系フルーツ、

コーヒー、緑茶、牛乳など多くの飲料は、温かくしても、

体を冷やす性質があるので食べ過ぎや過剰な取り方にならないように

注意しましょう。


紅茶やほうじ茶、ハーブティーなどは体を冷やす作用が少なくなります。

ただし、水そのものも過剰になると体を冷やすので、

のども渇かないのに、退屈しのぎで飲み物を飲むようなことは避けましょう。


就寝前90分前後に40度の少しぬる目のお風呂でゆっくりと温まったり、

寝具や寝間着の工夫で体を温めるとよく眠れます。


運動はあまりしない、緑茶を飲んで体を冷やしている、

骨が心配で牛乳を飲んで体を冷やしている、とかという人がいます。


それで水をふやしてしまって、というのが多いので、

こういうことを避けましょう、


飲食物も体を温めるようなヒツジの肉、タマネギの類とか。


ショウガは体を温めるものではありません、

これは熱を引っ張り出すものです。


そのため、体にいいからといって毎日食べていると

そのうち段々と体が冷えてくるので注意しましょう。


最後に、足の熱を逃がさないためみは絹の靴下をはくなどの工夫が

役に立つと思います。


冷えとり靴下は、絹の靴下と天然繊維の靴下(ウール、綿、麻など)を

交互に重ねて履く靴下のことで基本は4枚以上とされています。


絹→ウール(綿)→絹→ウール(綿)と重ねることで、

排出された汗などを外に送り出すことができ、

重ねた繊維に空気の層ができるため、しっかりと保温されます。


絹は肌と同じタンパク質でできているため肌に優しい上、

非常に保温性が高く、吸湿性に優れています。


その絹が吸ったものをウールがしっかりと吸い上げ、

次の絹に送るので汗冷えもしません。


ウールはゴルフウェアに使用されるほど吸放出性に優れた素材。

これを交互に重ねれば、常に足湯に浸かっているような快適な足元を

作ることができます。


絹糸の真綿を手の甲に乗せると、発熱しているかのような暖かさを感じます。

これは手の甲が発散している熱を、しっかりと保温してくれるからです。


冷えとり靴下の履き方

1枚目は絹の5本指、2枚目がウール(天然繊維)の5本指、

3枚目に絹の先丸靴下、4枚目にウール(天然繊維)の先丸靴下。










4.水タイプ=脾虚・痰飲の不眠

濕や痰飲が増える理由に、飮食過剰で、ということも勿論ありますが、

飮食過剰でも体丈夫だったら、それを最終的にはそれを処理して追っ払って、

眠れないことは通常ありませんが、胃腸の力の弱さが土台にあります。


胃腸の力が弱く、お腹に水が溜まって陰が滞ってしまう人が陥る不眠です。


脾の力が弱いために水が居座ってしまい、横たわるために、

上と下の交通を阻んでしまう。


そのため、おなかのあたりで流れが邪魔されて、

心に陰が届かなくなって不眠になります。


それから、痰飲という粘り気のあるものが心の行き来をはばんでしまうので、

心では必要なものが不足して乾いてしまいます。


陰の流れを阻む意味では陽虚・寒タイプと類似性がありますが、

寒タイプでは熱の不足で腎陰が心に運ばれず下に集まるのに対し、

脾虚・湿タイプの不眠では、胃腸に原因があるので陰は胃腸のあたりにたまります。


ストレスなどで気の流れが悪くなり、さらに食べ過ぎが重なると、

水の過剰が塊のようになる「痰飲」が生じます。


[不眠の主な症状]

食後に眠くなる傾向がありますが、いざ寝ようとしても、腹が張り、

その重量感が邪魔でななか寝付けない、

寝ていると何かお腹が苦しくて目が覚めてしまう、

胃のあたりの重鈍感みたいなものが邪魔をして眠れないタイプです。


[身体面と精神面の主な特徴]

胃腸が弱い、胃のもたれ感、お腹の張り、食欲がない、元気がない

むくみ、鼻みず・鼻づまり

痰飲は、胃やのどのつかえ感、痰や鼻水、鼻詰まり、めまい、ふらつき、

頭重感などを伴います。

陰の流れを悪くさせて上が空虚になるわけですから、

めまいやふらつきが起きることがあります。


[治療]

気の巡り、特に胃のあたりの気の巡りをよくしたり、

溜まった痰飲を解消するような方法をとり、

消化剤に近いような構成を持った方剤で

不眠を解消する方法をとります。


胃腸のあたりの水の停滞を解消するために、半夏白朮天麻湯、

半夏厚朴湯、六君子湯、啓脾湯、平胃散などを用います。


痰飲に肝鬱などによる熱を帯びた熱痰を解消するのに、

竹茹温胆湯があります。


竹茹温胆湯は熱の後の粘っこい黄色い痰や咳が長引くときに

よく使われますが、痰飲のようなつまった感じの場合は黄連、

竹茹が心の熱を冷まし、

人参、柴胡が心を盛り立て、余分な水を除いたり、

気を巡らせたりする成分が含まれていて、

不眠に応用することができます。


気の巡りをよくする抑肝散に、痰飲を解消する陳皮と半夏を加えたものが

抑肝散加陳皮半夏で、食べ過ぎに加えてストレスなどで

気の流れが悪くなった不眠症に使われます。


このようにして交通を取り戻して、睡眠を改善します。


[改善のために避けたい生活習慣]

カロリーの高い過剰な飲食、口渇・空腹を無視した飲食、夜間の過剰飲食、

寝る前の牛乳このタイプは基本は食べ過ぎを控えることが大切です。

しかも居座らせる飲食物にさせないようにすることが大切です。


特に夜間は飲食を控えめにして胃腸への負担を少なくすることが大切です。

空腹感や口渇感に応じた飲食物の取り方にするよう心がけましょう。

おなかもすかないのに、時間が来たからといって、

義務感で食事することは避け、

そのような場合は少なめの食事にしましょう。


基本的には食べ過ぎにならないように、お腹がすいた時に食べましょう、

のどの渇きもないのに無理矢理たくさんの水を飲むのも、やめましょう。

欲しいときに我慢をする必要はありませんが、

一度にたくさん飲むことはやめておくことが大切です。


乾燥したタイプや熱の過剰なタイプは寝る前に牛乳を飲むことは、

そのカルシウムの鎮静作用により少し眠れるようになるかも知れませんが、

このタイプの不眠には逆効果です。


牛乳は体を冷やして体の水を増やすからです。

もともとお腹の中に水が貯まっている人に牛乳を飲むと、余計、苦しくなります。

カロリーが高いので、胃腸の負担にもなります。

ショウガは貯まっているものを発散するため、このタイプの不眠にとっては

有利になります。


しかしその連用は体をかえって冷やすので注意しましょう。


【心腎不交】

心と腎は一番高いところと、一番低いところで、互いに関係し合って機能しています。

腎陰が上昇して心陰の根源となり、心陰は心陽を制御し、

心陽は下降して腎陽の根源となり、腎陽は腎陰を気化して上昇させます。


心腎相交のしくみに異常が起きる「心腎不交」で不眠が生じます。

腎の潤いが不足して心まで届かなかったり(燥タイプ)、

心の陽気が盛ん過ぎて腎に降りてこなかったり(熱タイプ)して心腎不交に至ります。


心腎相交を介して腎を潤すことで心を潤す方法があります。


腎を潤す作用を持つ生薬には五味子、枸杞子、知母、玄参、石斛、女貞子、白芍、

地黄があり、代表的な処方に六味丸があります。


陰を補うと同時に、心で余分に余っている熱を制御する黄柏や知母を含むものに

滋陰降火湯、知柏地黄丸などがあります。


滋陰降火湯は、乾いた咳に使われますが、

その内容は、腎を潤し心の余分な熱を取り、その名の通り陰を補い熱を冷ます、

不眠のための薬といってもいい構成になっています。


そのほか、腎の熱が不足して水を軽くすることができなくなり、

身体の下の方には水が多くなり、上には水が昇らず心が乾く寒タイプの状態や、

湿タイプの不眠のように心と腎の間の交通を阻害する要因、

例えば気の巡りが滞るとか、食べ過ぎや飲み過ぎで

おなかのあたりに飲食物が停滞するとかいったことがあると、

心腎不交の状態が形成されます。


不眠症の治療原則は、

1.心の陰の不足を解消する手段

2.心の過剰な陽を押さえ込む手段

これらお組み合わせながら、心への運搬にも目を向けて、

それぞれの原因の解消に、さらに工夫を凝らして、治療に結びっけます。


実際の治療現場では、以上のどれかのパターンに

明確に分けられるものではありませんし、

治療法もただ機械的に漢方薬を選んでもうまくいきません。


個々の体の状態をよく見極めながら、最適な治療手段を考えなければなりません。


酸棗仁や五味子、百合は心を潤す薬ですが、今度は腎から潤します、というので、

五味子、知母、地黄、芍藥などを使う、これの代表が六味丸。

これに熱の不足を考えると、八味地黄丸でもってあげて行きましょう、

あるいは運ぶ仕組みに問題があれば、これに運ぶ仕組みを応援して行きましょう、

ということになります。


これとは反対に、上で熱が過剰になって不眠になっているのであれば、

熱の制御を組みこんだらどうでしょう、ということで

滋陰降火湯ということになります。


滋陰降火湯には、知母、黄柏が入っています。

滋陰降火湯は普通は乾いた咳に使われるのですが、

乾いた咳きですから肺を潤すというので、

麦門冬、天門冬、知母が入っており、麦門冬は心も潤します。


天門冬は腎を潤しますがこの腎から心腎相交で、心に入ります。

知母は腎を冷やし、その潤い感を少し心に提供することができる、

というので、心と腎の両方を潤して心にこもっている熱を制御するのに

好都合の薬です。


咳きに効くはずの薬がなぜ睡眠に効くのだろうというと、

知母や天門冬は心腎相交に効き、上の方で少し熱を制御する、

というちゃんとそろっているわけです。


まさにこれは燥タイプの不眠のために作られたと言っても

言い過ぎではないような薬です。


ただ、滋陰降火湯には地黄という少し粘り気のある生薬が含まれ、

胃弱の人には少し胃に負担がかかり、胃もたれや下痢などが生ずることがあり、

その場合は地黄が含まれていない滋陰至宝湯が選ばれます。