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  • 院長 田中康文

シミの種類


肝斑

額や頬などに左右対称性に、点というよりも面で存在し、境界線がぼやけており、淡褐色あるいは褐色を呈しています。肝斑は範囲が急に広がったりするため、化粧で隠しきれなくて途方にくれていたり、女性に与える精神的ダメージがとても大きいといった特徴があります。

老人性色素斑

日光黒子(にっこうこくし)とも呼ばれ、顔面、手背、前腕伸側などに生じる境界明瞭な均一な褐色の色素斑をしており、大きさは米粒から指先大ぐらい、時には数センチの大型のものもあり、丸形が多いようですが楕円形、多角形、不正型のものもあります。長年放置すると部分的に疣(いぼ)状に盛り上がり、脂漏性角化症という老人性のいぼに進展することがあります。

長年、日に当たった部分の皮膚に生じ、紫外線などによる皮膚損傷によって生じる皮膚の変化ということができます。40歳代頃から出来はじめ、年齢とともに増加します。紫外線を多量に浴びると10代で出ることもあります。60歳以上の高齢者のほとんどは体のどこかに日光黒子があります。

よく似たものにメラノーマ(悪性黒色腫)の初期病変である悪性黒子があり、診断の確定には皮膚科医による組織検査が必要です。悪性黒色腫は、皮膚色素の色全体が不均一で、周囲の皮膚との境界も

不明瞭で、周囲の正常の皮膚と比べて色素部位が盛り上がりを呈することもあり、形も不正です。

老人性色素斑は放置しても構いませんが整容的に問題の場合、一種の腫瘍性病変としての側面を有するため、皮膚科的にはQスイッチアレキサンドライトレーザーという強いレーザー治療による破壊・除去する方法が主に行われ、そのほかには液体窒素による凍結療法、シミが多数の場合、フォト治療やトレチノイン・ハイドロキノン療法といった美容クリームにて薄くする方法が取られています。これらの治療は自由診療となるため、医療費が高額になります。

予防は、若いころから、できるだけ皮膚を日光にさらさないようにすること、シミが生じたらサンスクリーンの外用により進行を遅らせることが大切です。

肌の老化の原因は加齢による自然の老化によるものが20%、残りの80%は光による老化といわれています。光老化には紫外線と活性酸素が影響しているので、抗酸化ビタミン(βカロチン、ビタミンC、

ビタミンE)、特にビタミンCを補給することで光老化を予防することが可能といわれています。

そばかす

雀卵斑(じゃくらんはん)とも呼ばれ、幼少期に生じ、思春期に目立つようになり、頬や鼻の周辺など顔の広範囲に細かく散らばるようにして現れる5mm以下の褐色の色素斑です。顔以外にも肩や腕など紫外線の当たる場所に出ることもあります。特に両ほお、鼻あたりによく見られるのが特徴で、遺伝的な要素も強く、年齢とともに薄くなることも多いようです。また他のシミと同様に紫外線やまちがった洗顔などによる刺激などにより、後天的に発生することがあります。中高年になると目立たなくなったり、妊娠時に増えたり、またはなくなったりすることもあるため、女性ホルモンとの関係があるのではないかと考えられています。

そばかすはひとつひとつの大きさが比較的そろっていて、て鼻の根元を中心に左右対称に広がるのが特徴で、それに対し、ほかのシミは大小さまざまで不定形、顔の中心よりも外側にできることが多いようです。皮膚科的治療は老人性色素斑とほぼ同じです。

炎症後色素沈着

ニキビやアトピー性皮膚炎、傷痕にできる褐色の色素沈着で、虫刺されによる掻きこわしによる色素沈着もこの種類です。放置していても半年ぐらいで薄くなり消滅するといわれています。

太田母斑

東京大学皮膚科学教授の太田正雄(またの名は明治期の代表的な詩人のひとりである木下杢太郎)が発見した皮膚疾患で、女性に多く(80%程度は女性)、額、目の回り、頬、鼻、耳介に生ずる青アザで、通常、顔の片側に生じますが、まれに両側性に生ずることもあります。生後半年頃に現れることが多く、思春期以降に青あざが現れることもあります 。日本人を含むアジア人に多いと報告されています。典型的な太田母斑は青紫色から灰紫青色で、そこに薄い褐色の小色素斑が混在します。

基本的には自然消失することがなく、保険適応下でのレーザー治療が適応になります。

目の下のくまと言われているものも多くは軽症の太田母斑です。


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