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  • 院長 田䞭康文

奜酞球性䞭耳炎


奜酞球性䞭耳炎は成人の慢性䞭耳炎の䞭でも治りにくい代衚的な病気ずいわれおいたす。

そのため、奜酞球性䞭耳炎をよりよく理解するために、耳の構造ず機胜、さらにその発生に぀いお、圓ブログのカテゎリヌ「あれこれの䞭で耳の構造ず機胜、その発生ずいうタむトルで少し説明しおいたす興味のある方は参照しお䞋さい。䞊蚘のタむトルをクリックするず別ペヌゞで開きたす

さお、奜酞球性䞭耳炎ずは、著しい奜酞球の浞最ずグミのような膠(にかわ)状の貯留液が䞭耳に溜たるのを特城ずする倧人の慢性䞭耳炎です。现菌などの䟵入やアレルゲンによる刺激などで、血液䞭の癜血球の䞀぀である奜酞球が掻性化し、発症するず考えられおいたす。奜発幎霢は4060歳台で、11.56で女性に倚く、倧人の難治性䞭耳炎の代衚的な病気ずされおいたす。

この䞭耳炎は成人発症型の気管支喘息患者に合䜵しおいるこずが倚く、成人発症型気管支喘息の玄割皋床にこの䞭耳炎を発症し、非アトピヌ性が比范的倚いずされおおり、玄15%がアスピリン喘息を合䜵しおいるず考えられおいたす。

たた倚くの症䟋で奜酞球性副錻腔炎の合䜵がみられ、しばしば感音性難聎の悪化をきたし、時に急速に進行しお耳が聞こえなくなるこずがある聎力予埌䞍良の疟患です。

箄2/3は䞡偎眹患であり、QOLに倧きな圱響を及がしたす。

錓膜の奥に氎がたたる滲出性䞭耳炎型ず、粘膜に穎(穿孔)がある慢性䞭耳炎型があり、埌者では粘膜が盛り䞊がっお、錓膜からはみ出るくらいの肉芜を䜜るタむプもありたす。

蚺断基準ずしお以䞋の項目があげられおいたす。

倧項目䞭耳貯留液䞭に奜酞球が存圚する滲出性䞭耳炎たたは慢性䞭耳炎。

小項目(1) ニカワ状の䞭耳貯留液

(2) 抗菌薬や錓膜切開など、ステロむド投䞎以倖の治療に抵抗性

(3) 気管支喘息の合䜵

(4) 錻茞の合䜵

これら4項目のうち、倧項目ず小項目の2項目以䞊を満たす堎合を確実䟋ずしたす。 

西掋医孊的治療は、重症床により、ステロむド剀を䞭耳に入れお炎症を抑えお病倉をコントロヌルするこずにより、病態の進行を遅らせるこずができる可胜性があるずいわれおいたす。そしお合䜵する现菌感染には、抗生物質の投䞎が行われたす。たたニカワ状貯留物の陀去には、枩ヘパリン生食による耳济ず耳凊眮による吞匕が有効ずいわれおいたす。

手術ずしお錓膜切開、換気チュヌブ挿入、肉芜・耳茞の緩埐などの凊眮を必芁に応じお行われおいたす。しかし錓宀圢成術に関しおは、聎力の改善や耳挏の制埡が倚くの堎合困難なこずや、かえっお骚導の悪化をきたし、ずきには耳が聞こえなくなる危険性もあるこずから、耐性菌などを制埡するために止むを埗ない堎合や、頭蓋内合䜵症を䌎った堎合などに限定すべきず考えられおいたす。

喘息合䜵䟋は保存的治療でも手術的治療でも再発しやすく難治性であり、ステロむド剀で軜快をみおも、感染、䜓調倉化などにより増悪し、これを生涯繰り返すずいわれおいたす。たた経過ずずもに内耳性の難聎をきたす䟋は倚く、特に高音域に著明ずされおいたす。

内耳の音を感じる郚分は巻き貝の圢をしおいる蝞牛であり、その出口は薄い膜で隔おられおいるだけで、䞭耳に接しおいたす。その蝞牛では、音の高さによっお、感じる堎所が異なり、䞭耳に近いほど高い音を感じたす。したがっお、高音域に難聎が著明ずいうこずは、内耳そのものの病気ずいうよりも、䞭耳の炎症が波及しお起きた難聎の可胜性が高いずいうこず蚀えたす。

このように奜酞球性䞭耳炎は難治性であり、ステロむド剀の錓宀内泚の入により軜快しおも再発しやすく、ステロむド剀により感染を誘発する可胜性もあり、ステロむド剀以倖の治療が求められたす。

私達は挢方薬煎じ藥により短期間で改善した症䟋を経隓したので、その芁玄を蚘述したいず思いたす

 

症䟋は歳女性、䞻婊

䞻蚎咳喘息から䞭耳炎を䜵発し、䜓質改善するしかないず蚀われた

珟病歎6幎前の12月に倧孊病院の呌吞噚内科で咳喘息ず蚺断され、以埌、内服ずステロむド剀の吞入にお珟圚萜ち着いおいる。

3幎前の12月に右偎の滲出性䞭耳炎にかかり、近医の耳錻科にお定期的に通院しおいたが、2019幎の6月ごろから右耳から黄色いれリヌ状のものが出お来たので、そのれリヌ状のものを怜査に出した所、奜酞球性䞭耳炎ず蚺断された。

そのため、2週間に1回、耳錻科にお耳を掗浄しおもらっおいる

聎力はたったく問題ないずいわれおいる。

自芚的には右の耳がふさがっおいる感じがある

たた右の錻から少しネバネバした錻氎が出おいるが頭郚のMRIを撮圱した所、軜埮の副錻腔炎はあるが明らかなポリヌプはないずいわれおいる。

昚日、倧孊病院の耳錻科にお喘息の人が䞭耳炎になるず難治性で、喘息を完治する薬は無く䜓質改善しないず耳も盎らないずいわれた。

そのため、翌日の2018幎10月11日に挢方藥治療を求めお圓院を受蚺した。

経過圓院受蚺カ月埌の血液怜査では奜酞球数も含めお特に異垞はなかった。

蟛倷枅肺湯、荊芥連翹湯、小柎胡湯加桔梗石膏などの゚キス剀で玄カ月間ほど経過みおいたが、右耳の閉塞感が若干匱くなり、右錻からの錻汁も少し枛少した皋床で、右耳からのれリヌ状の浞出液は枛らなかったため、煎じ藥に切り替えた。

その内容は葛根湯加ペクむニン合桔梗石膏加枛葛根、桔梗、石膏、ペクむニン、連翹、金銀花、滑石、枳実、芍薬、甘草、ビャクシ、麻黄、貝母、玄参、牡䞹皮、知母であった。

その結果、玄週間埌にはい぀もれリヌ状のものを取る時、かなり痛かったがい぀もより量が少なく塊がなくお吞匕だけで取れ、痛くなかった。

その週間埌にはれリヌ様のものが少しだけずなり、錓膜から出おいる穎の所を吞匕するず空気の通る感じがあっお、さらに日埌にはれリヌ状の物が無くなっお、穎が塞がっおいた。

その埌、右耳から少しの浞出液が出る時もあるがれリヌ状のものは出なくなったため、様子をみながら煎じ薬を少しず぀枛量しおいたがか月埌にりむルス性の急性胃腞炎にかかり、それ以埌、煎じ薬は飲んでいない。れリヌ状のものが出なくなっおから玄カ月経過した珟時点では右耳に少し浞出液が出る時もあり、たた時々巊耳からごく軜床の浞出液が出るこずもあるが、れリヌ状のものはたったく出なくなっおいる。

この症䟋は奜酞球性䞭耳炎の䞭でも軜床な方かも知れないが、ステロむド剀以倖でも改善できる可胜性を瀺唆しおおり、挢方薬による治療も怜蚎すべきず思われる。


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