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網膜静脈閉塞症

November 29, 2018

 糖尿病網膜症と並び、眼底出血を起こす代表的な疾患です。

文字通り、網膜の静脈が閉塞し、血管が詰まって血液が流れなくなる病気です。50歳以上の人に起きやすく、患者さんの80%は高血圧があり、そのほかに血管自体の炎症や糖尿病などの血液の粘性が増す病気がある場合にも、発症しやすくなります。

 

眼球の内側には光や色を感じる網膜という幕様の組織があります。このような網膜は大変薄い組織なため、網膜内の動脈と静脈が交叉している部分では、血管の血管壁の一番外側にある外膜を共有しています。そのため、交叉部分の動脈に動脈硬化が起きていると、静脈もその影響を受けて、血管内径が狭くなったり血液の流れがよどんだりして、血栓が形成されやすくなります。

 

 網膜の静脈が詰まると、そこまで流れてきた血液の行く手が阻まれ、静脈から血液があふれ出します。あふれた血液は、網膜内に広がる眼底出血となったり、傷んだ血管から網膜に血液中の水分が漏れ出て、網膜浮腫を起こします。これらの出血や浮腫が黄斑(視力にかかわる最も大切な網膜の中心部)におよぶと視力低下をきたし、物がゆがんでみえたり、線がまがってみえたりすることがあります。また、網膜の障害をうけた部位によって、部分的にみえないという症状が現れます(視野異常)。

 

 網膜静脈閉塞症は、静脈閉塞が起きた場所により、病状に大きな差があります。網膜全体に枝分かれして広がっている静脈は、視神経乳頭で1本にまとまって網膜中心静脈となります。この網膜中心静脈は、網膜中心動脈と接しているために、やはり動脈硬化の影響を受けます。静脈の枝が閉塞した場合を網膜静脈分枝閉塞症、乳頭部で静脈の根元が閉塞した場合を網膜中心静脈閉塞症と呼びます。 

 網膜静脈分枝閉塞症は主に、この交叉部の血栓によって、血流が途絶えることで発病します。症状は末端の静脈が詰まって出血が狭い範囲に限られていれば、全く気付かないこともあります。中心静脈閉塞症は根元の静脈がつまるため、影響は網膜全体に及びます。眼底一面に出血や浮腫が広がり、当然、黄斑にも出血や浮腫が強く起きるため、視力が障害されてしまいます。ただし、網膜静脈閉塞症のうち、8割以上は静脈分枝閉塞症で、中心静脈が閉塞するのは少ないといえます。

 

 網膜静脈閉塞症は高齢者に多い病気ですが、若い人に発症することが全くないわけではありません。若年者に起きる場合、静脈分枝閉塞より中心静脈閉塞が多いという特徴があります。血栓により閉塞するケースは少なく、血管自体の炎症や全身の病気(全身性エリテマトーデスなど)が主な原因です。高齢者に起きる中心静脈閉塞が、血管が完全に閉塞してしまうことが多いのに比べ、若年者の場合、多くは完全には閉塞せず、血流が保たれています。そのため、中心静脈閉塞の割に予後は良いといえます。

 

西洋医学的には以下の治療が試みられています。

 (1) 網膜光凝固

網膜の血流の悪い部分(虚血部分)が広範囲にある場合には、のちに新生血管が発生し硝子体出血や血管新生緑内障を引き起こすことがあるので、レーザーで虚血部分を凝固していきます。特に網膜中心静脈閉塞において虚血が広範囲におよぶ場合は合併症をおこすリスクが高くなります。網膜光凝固術は視力の向上を目的とするものではなく、病状の進行や合併症発生の予防を目的として行われます。

 (2) 硝子体内注射

主に黄斑浮腫を軽減させるために眼球内に薬剤を注射します。また薬剤の種類は抗VEGF薬やステロイドがあります。抗VEGF薬には新生血管を抑制する作用もあります。ただし薬の効果は数週間で途切れてしまい、高い頻度で浮腫が再発するので、黄斑浮腫が再発した場合には再度注射します。

(3) 硝子体手術

注射をしてもなかなか黄斑浮腫が改善しない場合や硝子体出血などの合併症を起こした場合に手術をおこないます。このように網膜静脈閉塞症は、失明にいたる重篤な疾患の1つで、西洋医学的には様々な治療法が試みられていますがまだ確率された治療法は見つかっていまいようです。

 

一方、東洋医学的には温清飲と五苓散あるいは杞菊地黄丸加減の煎じ薬で視力が速やかに回復した報告もみられます。私も漢方藥の煎じ薬で視力が改善された症例を経験したので提示します。

症例は70歳の、やや肥満体の女性です。

血圧は160/84、脈拍は81/分

約1か月ほど前、左眼が急にぼやけて見えづらくなったため、近くの眼科を受診し、眼底検査にて黄斑浮腫と眼底出血がみられ、網膜中心静脈閉塞症と診断され、血管が硬くなっている、もしくはもろくなっていることが考えられるとのことであっったが、特別な治療はされなかったようです。

友人の母親であり、紹介にて平成29年12月4日初診。

その日から眼底の浮腫の軽減と止血を目的にて、杞菊地黄丸合二至丸加田七末の煎じ薬を処方。

①煎じ薬

乾地黄6g、山茱萸6g、枸杞子9g、菊花9g、車前子15g、沢瀉15g、茯苓15g、茅根20g、黄耆10g、紅花6g(指示箋)仙鶴草12g、続断12g、女貞子9g、旱蓮草9g

以上、朝夕食前

②田七末3.0g朝夕食前

同年12月15日に黄斑浮腫軽減目的にて、別の眼科にて眼球内に抗VEGF薬が注射されたそうです。

約2か月後には左眼の視力は0.5から0.9に上がって、眼底出血はまだ少し残って居ますが以前の半分ぐらいに減少し、黄斑浮腫は消えていたそうです。

眼科の先生も回復の速さに驚いていたそうです。

このように眼科的にも重篤な疾患に対して、是非漢方薬を試して頂きたいと思います。

 

 

 

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