• 院長 田中康文

抗不安薬(不眠症:その14)



睡眠障害を訴える人はしばしば不安感や過度の筋緊張、

うつ状態がみられるため、

これらの症状を緩和するだけで良眠が得られることがあります。


ここでは抗不安薬について少し詳しく述べたいと思います。





〔抗不安薬〕


抗不安薬は不安感や緊張感を和らげる効果が期待できるため、

精神安定剤と呼ばれることもあります。

このような薬は不安で苦しんでいる方には非常に有用な薬ですが、

漫然と使っていると依存がついてしまうことがあり、注意が必要です。


現在使われている抗不安薬は、ほとんどがベンゾジアゼピン系

と呼ばれる薬ですが、そのほかにはアザピロン系のセディールがあります。


ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、GABAが関係しています。

GABAは神経細胞の活動を抑える働きがある神経伝達物質です。


ベンゾジアゼピン系の薬がGABA受容体と複合体を形成する

ベンゾジアゼピン受容体にくっつくと、

GABAがGABA受容体にくっつきやすくなります。


その結果、GABAに関わる神経伝達が高められて脳の過剰な働きを抑制して

不安感や緊張感が和らぎます。


このようなベンゾジアゼピン受容体には、おもにω1とω2の2種類があります。

ω1受容体は催眠作用や抗けいれん作用があり、

ω2受容体は抗不安作用や筋弛緩作用があります。


睡眠薬も、ベンゾジアゼピン系の薬が多く使われていますが、

催眠作用が強いものが睡眠薬、抗不安作用が強いものが抗不安薬になります。


抗不安薬の中でセディールという薬は、アザピロン系に分類され、

ベンゾジアゼピン系とは異なった作用があります。


[セディール]


セディールは、不安や落ち込みに関係していて、

抗うつ剤のターゲットでもあるセロトニン1A受容体部分に作用して、

セロトニンのバランスを整えることで、抗不安効果と抗うつ効果をもたらします。

従って、抗不安薬作用にくわえ、抗うつ作用をあわせもつのが特徴です。


ベンゾジアゼピン系抗不安薬と作用点が異なるため、筋弛緩作用による脱力、

健忘、依存性などが少ないとされています。


また効果発現が遅く2週間近くかかるので、飲み続ける必要があります。


このようにセヂールは効果発現に時間がかかりますが

穏やかに作用して副作用が少ないことから軽症・高齢の人にも良く用いられます。


しかし人によっては眠気やふらつきなどが起こることがあるので注意が必要です。

また高齢の人は血中濃度が上昇しやすいので、

低用量から始めるなど慎重に用いるようにします。 


ジェネリックとしてタンドスピロンが販売されています。

この薬はセロトニンが増えるわけではないですが

セロトニンが増えたのと同じ作用があります。


作用としてはセロトニン量を増やす抗うつ薬よりは弱いのですが

軽症の方はこの薬を朝昼夕と定期的に飲むことで改善されることもあります。


定期的に内服しても依存形成はないですし眠気などの副作用もほとんど生じません。


短所としては効き目が短いので一日中効かせようとすると何度も飲まないといけないこと、眠気が無いのでいつ効いてきたか分からないことです。


しかし抗うつ剤以外で不安障害を根本的に改善できる可能性のある

唯一の抗不安薬と考えられています。


[作用時間]

最高血中到達時間は0.8〜1.4時間、

半減期は1.2〜1.4時間と差用時間のかなり短い薬です。


[用法・用量]

5mg錠、10mg錠、20mg錠の3種類の剤型が販売されています。

1回5mgあるいは10mgから開始し、

通常、1日30mgを3回にわけて服用します。

最高用量は1日60mgまでとなっています。


[ベンゾジアゼピン系抗不安薬]


現在日本で発売されている抗不安薬はほとんどがベンゾジアゼピン骨格を持った

ベンゾジアゼピン系の薬ですが、抗うつ薬より即効性があります。


ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、作用時間によって、

短時間型、中間型、長時間型、超長時間型の4つに分類されています。


短時間型、中間型は即効性を期待して使うことが多く、

長時間型は即効性も期待できますが

飲み続けていくことで不安を落ち着かせていくこともできます。


超長時間型は、飲み続けていくことで全体的に落ち着かせる土台を作るように

作用しています。


短時間型、中間型は定期的に服用することもありますが、

必要な時だけ頓服として使うという方法が一般的です。


頓服薬としての抗不安薬は、作用時間が短いもの、抗不安効果が強いものが求められます。


そのため、デパス、ワイパックス、ソラナックス、コンスタンなどが

頓服として良く使われ、筋緊張が強いときは、

筋弛緩作用が強いデパスやレキソタンなどが使われることが多いようです。


不安がそこまで強くない場合は、リーゼもよく使われます。


しかし短い薬ほど依存しやすく、長い薬ほど身体に薬がたまって

眠気やふらつきが出やすいという副作用があるので注意が必要です。


ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は副作用として、抗コリン作用により眼圧を上げたり、

筋弛緩作用により筋無力症の症状を悪化する可能性があるため、

急性閉塞隅角緑内障や重症筋無力症の患者さんには使ってはいけないことになっているので注意が必要です。





1.短時間型:効果のピークは1時間未満、作用時間は3~6時間





現在、デパス・リーゼ・グランダキシンなどが

発売されています。

これらの薬の抗不安作用の強さは

デパス>リーゼ>グランダキシンとなります。




①デパス


デパスは最高血中濃度到達時間は3.3時間、半減期は6.3時間となっていて、

最高血中濃度に到達するのに少し時間がかかります。


しかし抗不安作用だけでなく、催眠作用が強いため、

睡眠薬に分類されることもあります。

また、筋弛緩作用も強く、肩こりなどにも使われることがあります。


しかし高齢者では夜間のトイレに立った時、この強い筋弛緩作用のため、

ふらつき・転倒を起こし、骨盤や足を骨折する可能性があるため、

睡眠薬としては不適とされています。


またこの薬は作用が強く効果の実感が期待できるため、

漫然と使い続けると薬がやめられなくなってしまう可能性があり、

注意が必要です。


またデパスを急に中止すると、ひどい不安や不眠が認められたり、

焦りや苛立ち、発汗やふるえなどの離脱症状がみられることがあります。

このような離脱症状を和らげるためには、薬をゆっくりと減らす必要があります。


このような漸減法や隔日法が難しい場合は、

メイラックスやセルシン、ホリゾンなどの作用時間の長い薬に少しずつ置き換えて、

その後減薬を行っていきます。


作用時間が長いため、減薬しても体から抜けていくのがゆっくりなので

離脱症状は起こりにくいとされています。


[用法・用量]

0.25mg錠、0.5mg錠、1mg錠の3種類の剤型が販売されています。

通常、0.5~1mgから開始し、効果を持続させたい場合は、

作用時間が短いため、1日3回食後に服用する必要があります。


最高用量は3mgですが高齢者は1.5mgまでとなっています。

突然の不安感・緊張感が出現した時の頓服として使う場合は、

1回の服用を0.25mg~1mgの間で調整します。


②リーゼ


リーゼは不安や緊張に対して、幅広く使われている抗不安薬です。

即効性は期待できますが、その特徴はマイルドな効果と副作用が少なく、抗不安薬の中では依存性は低いとされています。

そのため、症状が軽い若い人や高齢者に使われることが多い薬です。しかし時に眠気やふらつきが生じることもあり注意が必要です。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は1時間、半減期は6時間となっています。

このように作用時間は短いため、持続的な効果を期待したい場合は

1日3回の服用が必要になります。


[用法・用量]

5mg錠、10mg錠、10%顆粒の3剤形が発売されています。

通常、1回5mgあるいは10mgから開始し、

効果を持続させたい場合は、1日3回食後に服用する必要があります。

最高用量は30mgとなっています。

頓服として使う場合は、5mgあるいは10mgを用います。


③グランダキシン


グランダキシンは欧州では抗不安薬として販売されていますが、

日本では自律神経失調症・更年期障害の薬として販売されています。


更年期における頭痛・頭重、倦怠感、動悸、発汗などの自律神経症状の改善に

有用とされています。


グランダキシンは、通常のベンゾジアゼピンがもつ鎮静、筋弛緩作用はほとんどなく、

抗不安効果をもたらすとされています。

また通常のベンゾジアゼピンと違って、依存性もないと考えられています。


現在グランダキシンは、日本、欧州、インドなどで販売されていますが、

アメリカ・カナダでは販売されていません。


[作用時間]

グランダキシンの最高血中到達時間は1時間、半減期は6~8時間となっています。

[用法・用量]

1mg錠、2mg錠、5mg錠、1%細粒が販売されています。

通常、1回1mgあるいは2mgを1日3回服用します。

最高用量は1日15mgとなっています。

就寝前に1回5mg服用することもあります。


2.中間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は12~20時間



レキソタン・ワイパックス・ソラナックス/コンスタンなどが発売されています。

これらの抗不安作用の強さは、

レキソタン>ワイパックス≧ソラナックス/コンスタン

となっています。

いずれも抗不安作用が強く即効性に優れ、

不安発作が強いときに頓服としても使われます。



①レキソタン


レキソタンは、抗不安作用と筋弛緩作用が強いため、不安や緊張が強い場合やそれに伴う

肩こりや頭痛の緩和に使われます。


その効果は、ベンゾジアゼピンの中で最も強いと評価されることもあり、

服用すると鋭い効果を実感できることが多いとされています。


レキソタンは強い抗不安作用と筋弛緩作用の他に催眠作用も中程度の作用があるため、

眠気とふらつきに注意が必要です。


特に筋弛緩作用によるふらつきは転倒する危険性が増え、

頭を打ったり骨折につながったりするので注意が必要です。


その場合は減量するか、他剤に変更することも検討します。


そのほかに、レキソタンを1か月以上連続して使った場合、

薬物依存の可能性が出てきます。


レキソタンが無いと落ち着かなくなってしまい、常にレキソタンを求めてしまい、

手放せなくなることがあります。

その場合、不安症状がそれほど強くない場合はレキソタンより作用の弱い薬に

切り替えを試みます。


またレキソタンはしばらくの間飲み続けたあと急にやめると、

イライラや頭痛などの離脱症状が起こることがあるので、

徐々に薬を減らしていくことが必要です。


レキソタンのジェネリックとして、ロラゼパム錠として発売されています。


[作用時間]

最高血中到達時間は約1時間、半減期は10~20時間と立ち上がりが速く、

長く続くことが特徴です。服薬して15分~20分くらいで効果を感じられるため、

いざという時にすぐに使える薬としても重宝します。


[用法・用量]


1mg錠、2mg錠、5mg錠、1%細粒が販売されています。

通常、1回1mgあるいは2mgから開始し、1日3回服用となっています。

最高用量は1日15mgとなっています。

催眠作用を期待して、1回5mg,就寝前のように服用することもあります。


②ワイパックス


ワイパックスはしっかりとした抗不安作用が期待できる薬ですが、その割には副作用が少なく、よく使われている抗不安薬です。

しかし副作用がないわけではありません。


ワイパックスの副作用として、もっとも問題となることが多いのが眠気です。ほかのベンゾジアゼピン系の薬と同様に、催眠作用が少なからずみられます。

そのため、睡眠の安定のために、夜だけ使われることもあります。


ワイパックスは筋弛緩作用が少なく、ふらつきは少なく、また肝臓への負担も少なく、

高齢者にも使いやすいとされています。


しかしワイパックスは作用時間は短く、効果もしっかりとして実感の得やすい薬なので、依存性があり、離脱症状に注意が必要です。


そのため、ワイパックスはできるだけ少量で短期間で使うことが勧められています。

ワイパックスのジェネリックとしては、ロラゼパム錠として発売されています。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は2時間、半減期は12時間となっています。

作用時間は短く、持続的な効果を期待したい場合は1日3回の服用が必要になります。


[用法・用量]

0.5mg錠、1.0mg錠の2種類の剤型が販売されています。

1回0.5mg~1.0mgから開始することが一般的です。

作用時間が短いため、効果を持続させたい場合は、

1日3回の服用する必要があります。

1日最高用量は3mgとなっています。

頓服として使う場合は、0.5mg~1mgで調整していきます。


③ソラナックス/コンスタン


ソラナックス、コンスタンは同時に2社で開発され、

ソラナックス錠とコンスタン錠として、別々の会社で発売されています。


ソラナックスの抗不安作用は中程度の強さですが、筋弛緩作用なども少なく、

はっきりとした効果が期待でき、不安が強いときに、幅広く使われています。


眠気やふらつき、さらに依存性、離脱症状などの副作用はワイパックスと同じですので、

ワイパックスの項目を参照して下さい。


ソラナックス錠はジェネリック医薬品としてアルプラゾラム錠として発売されています。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は2時間、半減期は14時間となっています。

ソラナックスの作用時間はやや短い方で、

持続的な効果を期待したい場合は1日2~3回の服用が必要になります。


[用法・用量]

0.4mg錠と0.8mg錠の2種類が販売されています。

通常、1回0.4mgあるいは0.8mgから開始することが一般的です。

作用時間がやや短いため、効果を持続させたい場合は、

1日2~3回の服用する必要があります。

最高用量は1日2.4mgまでとなっています。


ただし65歳以上の高齢者は1回0.4mgを1日1~2回から開始、

最高用量は1日1.2mgまでとなっています。

頓服として使う場合は、0.4mg~0.8mgで効果の実感をもとに調整していきます。


3.長時間型:効果のピークは1~8時間、作用時間は20~100時間


リボトリール/ランドセン・セパゾン・セルシン/ホリゾンが販売されています。

これらの薬の抗不安作用はリボトリール/ランドセン>セパゾン>セルシン/ホリゾン

となっています。

①リボトリール/ランドセン


同時に2社で開発され、リボトリール錠とランドセン錠として

別々の会社で発売されています。


脳のベンゾジアゼピン受容体に作用し、脳の興奮している状態をしずめ、

てんかん発作、特に顔や手足がぴくつくミオクロニー発作に効果が高いとされています。


神経をしずめる作用があることから、さまざまな精神・神経系の病気、

たとえば無意識な体の動きやふるえなどの体の不随意運動、むずむず脚症候群、REM睡眠行動異常症、不安神経症やパニック障害をふくめ各種の不安障害、躁病やうつ病、

さらに鎮痛補助薬として神経痛などの治療に応用されることがあります。


比較的安全性が高く、副作用も少ないのですが、 眠気やふらつきが出ることがあり、

また長期間の服用により依存症が出ることがあります。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は2時間、半減期は27時間となっています。

[用法・用量]

0.5mg錠、1㎎錠、2mg錠の3剤型と細粒が販売されています。

通常、1回0.5~1mgから開始し、1日2~3回服用し、

維持量として1日2~6㎎とされています。


②セパゾン


穏やかに不安や緊張感をやわらげたり、寝つきをよくし、比較的安全性が高く、

依存性もそれほど強くない薬です。


心身症や不安神経症、パニック障害など各種の不安障害を中心に、自律神経失調症、

更年期障害、うつ病や不眠症、統合失調症や躁病の急性期などに使われています。


さらに、筋肉をほぐす作用があるので、緊張型頭痛や頸椎症、腰痛症、

肩こりなどにも応用されています。


このように、この薬は副作用が少なく安全性が高いこともあり、

各診療科でいろいろな病気に幅広く使われています。 


しかし人によっては眠気、ふらつき、けん怠感、脱力感がみられることがあります。

とくに高齢の人では、転倒につながったり、昼間からボーッとしてしまうことがあるので、この場合は、服用量を減らす必要があります。


安全性が高いといって、服薬量をむやみに量を増やすと、

薬に頼りがちになりやめにくくなってしまうことがあり、

決められた範囲内で服用するようにしましょう。


また、定期服用中に急にやめると、反動でイライラしたり、

強い不安感、震えを生じることがあります。

症状がよくなってきたなら、計画的に徐々に減量したり

頓服のような飲み方に変えることも考慮しましょう。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は2~4時間、

半減期が11~21時間となっています。

[用法・用量]

1mg錠、2mg錠の2種類の剤形が販売されています。

1回1mgから開始し、通常、1日3~6mgを3回に分けて服用します。

最高用量は1日12mgとなっています。

高齢の人は副作用がでやすいので、少量ではじめます。 


③セルシン/ホリゾン


同時に2社で開発され、セルシンとホリゾンとして

別々の会社で発売されています。

ジェネリックとしてジアゼパムが販売されています。


セルシンは、50年以上前に作られた薬ですが、

そのバランスのよさと効果の幅の広さから、今でもよく使われています。


セルシンの特徴として以下の点があげられています。

即効性がある、作用時間が長い、幅広い効果が期待できる、

依存性が低い(90日処方できる)、注射剤があり剤形が多い。


セルシンは、薬を服用するとすぐに効果が期待できます。

抗不安作用もしっかりとしているので、即効性が期待できます。


そのため、不安が強い時は頓服としても使うことができます。

ただ、セルシンは薬が身体に残りやすいので、頓服を続けて使うと、

眠気やふらつきなどの副作用が出てしまうことがあります。


セルシンには抗不安作用だけでなく、催眠作用や筋弛緩作用、抗てんかん作用があり、

いずれもしっかりと期待できます。


その中でもセルシンで特徴的なのは、抗けいれん作用の強さです。

セルシンには即効性があるので、今まさに痙攣がおきているような時には、

まずはセルシンの注射などが使われます。


筋弛緩作用も強いので、身体の緊張が強い時に有効です。

催眠作用もあるので、不安が強くて眠れない方には睡眠のサポートになります。

抗不安薬にはいずれも依存性がありますが、

セルシンは、作用時間の長さから依存性が少ないという特徴もあります。


他の抗不安薬で依存になってしまった方は、

セルシンに置き換えてやめていくこともあります。


抗不安薬のほとんどは、処方数が30日までに制限されていますが、

セルシンは依存性が少なく、てんかん治療としてもつかわれることから、

90日まで処方ができます。


セルシンは、発売から年月もたっているので、たくさんの剤形が発売されています。

抗不安薬の注射剤は、セルシンしかありません。


服薬ができない時は、筋肉注射が有効です。


坐薬やシロップ、粉薬なども発売されています。

自分にあった薬のタイプを選ぶことができます。


[セルシンのデメリット]


ふらつきが多い、日中の眠気が多い、睡眠の質が落ちる

セルシンは筋弛緩作用が強く、強く働きすぎてしまうと、身体に力がうまく入らなくなってふらついてしまいます。


さらに筋肉の緊張を軽減する効果と組み合わさることで、

転倒が起きやすくなることが知られています。


これは、足腰の筋力が低下した高齢者で特に顕著です。


また、催眠作用が強く、作用時間も長く効果が残りやすいので、

注意する必要があります。


セルシンは睡眠の質を落としてしまう傾向にあります。

レム睡眠やノンレムの深い睡眠を減らしてしまい、

ノンレムの浅い睡眠を増やしてしまいます。

このため、熟眠感が薄れてしまうことがあります。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間が1時間、半減期が57時間と、

立ち上がりが速く、しかし作用時間はとても長いのが特徴です。


セルシンの血中濃度は2段階に変化して、

いったん血中濃度のピークから急激に低下します。

その後、ゆっくりと身体からぬけていきます。


このような変化をするのには、セルシンの脂への溶けやすさが関係しています。

セルシンを服用すると、かなりの薬が身体の脂肪に取り込まれます。

脂肪に取り込まれなかった薬の成分が血中濃度のピークを作った後、

血中濃度が急速に減少していきます。


セルシンの血中濃度が低下してくると、脂肪から血液中に少しずつ薬が戻っていきます。

それが長く続くので、血中濃度はゆっくりと減っていきます。


セルシンを服用すると、約1時間で血中濃度がピークになりますが、

実際の効果としては、服用して15分~30分くらいで出てきます。

その後3時間ほどで急激に減っていきます。

4時間ほどすると下げ止まり、そこからはゆっくりと減っていきます。

トータルで考えると、血中濃度が半分になるまでに57時間かかります。


服用してから1時間して効果のピークがくるので、即効性が期待できます。

半減期は長いですが、効果の実感は前半の山にあります。

ですから4時間程度に感じる方が多く、長く、効果を感じる方でも12時間ぐらいです。


これはセルシンの分解に必要な肝臓の酵素(CYP2C19)が関係しています。

この酵素をを持っていない方が、日本人には2割ほどいます。

このような方には効果が長く続きます。

このため、セルシンの効果の持続時間は、約4~12時間といったところになります。


セルシンの後半の台地の部分は、毎日服用していると身体にたまっていきます。

セルシンを飲み続けていると、あるところで均衡状態ができ、

このような状態は定常状態と呼ばれています。

セルシンでは2週間ほど服用を続けると、定常状態に達します。

このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

このような薬なので、頓服としても効果が期待できますし、

定期的に服用して1日を通してカバーしていくこともできます。


[用法・用量]

2mg錠、5mg錠、10mg錠

シロップとして、0.1%(1mg/mL)

注射液として、5mg(1mL)、10mg(2mL)

が販売されています。

1回2~5mgから開始して、1日2~4回服用します。

外来患者には原則1日15mg以内となっています。

就寝前には5~10mg服用します。

注射:初回10mg,できるだけ緩徐に筋

注,静注,以後3~4時間毎,症状などにより増減


4.超長時間型:効果のピークは1~8時間、作用時間は100時間~



メイラックス・レスタスが販売されています。


抗不安作用はレスタス>メイラックス

とされています。

このタイプは非常に作用時間が長いため、

副作用が出たときにも薬がなかなか抜けない難点があります。


そのリスクを避けるため、副作用の穏やかなメイラックスの方がよく使われています。


①レスタス


作用の強さや、長時間の作用継続性から、持続性心身安定剤とされています。

鎮静作用、抗痙攣作用が、ジアゼパム(セルシン・/ホリゾン)より強いとされています。

副作用として、眠気、ふらつきなどが生ずることがあります。

連用により薬物依存を生じることがあるので、

漫然とした継続投与による長期使用を避けるようにします。


また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、

痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想などの

離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、

徐々に減量するなど慎重に行うことが大切です。


[作用時間]

最高血中濃度到達時間は4~8時間、半減期は190時間とされています。

レスタス服薬開始の10日目ごろより均衡状態(定常状態)に達し、

神経症、心身症患者への6〜25ヵ月間の長期連続投与においても

蓄積性は認められなかったと報告されています。

このように定期的に飲み続けていくと、不安になりにくい土台ができあがります。

半減期が長いため,1日1回投与が可能です。


[用法・用量]

2mg錠だけが販売されています。

1回2mgを1日1~2回服用します。

高齢者では、ふらつきなどの副作用が発現しやすいので

1~2mgの少量から投与を開始するなど慎重に投与します。


最高量は1日8mgまでですが高齢者は4mgまでとなっています。


②メイラックス


メイラックスは抗不安作用は強いですが依存性は比較的少ないとされています。

半減期が長いので、1日1回投与が可能です。


[作用時間]

最高血中到達時間は0.8時間、半減期は122時間

作用時間が100時間以上なので、服薬後3〜4日以上も効いていることになります。

強い不安を早く抑えたいときなどは不向きなこともありますが、

常に心の安定を維持できる土台を作るには適しています。


[用法・用量]

1mg錠、2mg錠、1%細粒が販売されています。

1回1mgを1日1~2回服用、あるいは1回2mgを1日1回服用します。


【備考】


1. 時々強い不安が出る場合


頓服でデパスなどの短時間作用型を服用します。

作用時間が短い薬は即効性があり、また効果がしっかりと出ますが、

常用してしまうと依存性が高いので、最初は不安が強いときだけ頓服から始めます。


頓服で使っている場合は、依存になることはないとされています。


2.いつも不安がつきまとっている場合


メイラックスなどの作用時間の長い薬から使っていきます。

作用時間が長いと身体から抜けていくのもゆっくりなので、

離脱症状が起こりにくいとされています。


いつも不安を感じる中で時折、不安を強く感じることがあるというときは、

メイラックスなどの作用時間の長い薬で安定のベースをつくり、

発作的な不安に対しては、デパスなどの即効性のある薬を頓服で服用します。


3.メイナックスを服用しているが、強い不安がいつも頻繁にみられる場合


作用時間が長い薬でもカバーできない場合は、短い作用時間の薬を常用します。

薬が身体にたまっていって、より安定した効果が期待できます。


4.不安による身体の緊張が強い場合


不安や緊張で手足が震える、声が震える、肩こりや頭痛がひどい

このようなときは、筋弛緩作用の強いデパス、レキソタン、

リボトリール/ランドセン、セルシン/ホリゾンなどを服用します。


5.抗不安薬を十分に使っても不安がしずまらない場合


抗うつ剤あるいは抗精神病薬などの他の作用機序の薬を併用します。

住所
栃木県下野市
文教1-2-28